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電気ファンヒーターなど電熱機器は効率が大変悪く、大量の電気が必要になります。今回は2つの懸念があると理解しています。

①「kWh不足」
BDEWアンドレーエ事務局長の「控えめに使用しなければ電気代がかさむ」とのコメント、連邦ネットワーク庁(BNetzA)ミュラー長官の「電気ヒーターは、ガスによるセントラルヒーティングよりも高くつく」のコメントに該当します。
今冬はロシアから天然ガスが来ない事態を念頭に置かねばなりません。また、欧州で導入が進む風力発電は冬場の偏西風の影響で、通常冬場に強いと言われています。ところが、2020/21年、2021/22年と二冬連続で風力出力が低下する事態が生じています。これらを背景に、今冬は極力節電・節ガスを行うことで燃料消費を抑える必要がある。電気代が高い、つまり月もしくはシーズンを通じて電気の使用量が高い状態は極力避ける必要があります。

②「kW不足」
BDEWアンドレーエ事務局長の「寒い冬の夜、多くの家庭が一斉にヒーターをつけた場合、電力系統に大きな負荷がかかる」とのコメント、BNetzAミュラー長官の「電気ヒーターの使用ピーク時に局所的な停電が起こる可能性がある」のコメントに該当します。
寒波が襲来した際、火力・風力発電所の計画外停止が相次ぐことがあります。テキサスでは2021年2月の極渦襲来時に火力発電所の燃料供給系が凍結して計画外停止、風力発電所も停止が相次ぎました。日本でも2012年2月3日に九州電力新大分発電所のLNG供給系の一部が凍結して流量調整ができなくなり、計画外停止した事例があります。
当然寒波では電力需要は増えますし、前述の通り再エネ出力が得られない可能性もあります。効率の悪い電熱機器が大量に使用された場合には、需給バランスが維持できなくなり、最悪ブラックアウトに直面するリスクがあります。
※英国の場合、全域停電になる前に系統周波数が低下した時点で配電用変電所でUFR(英ではLow Frequency Demand Disconnection:通称LFDDと呼称)が作動、一部地域を強制停電させます。作動値は48.8Hz、周波数低下検知から作動まで200mS未満です。

本来脱炭素にあたって、家電製品や輸送機器の電化は非常に重要ですが、今冬は電熱機器は、安定供給のため使用を控える必要性があります。
再エネだけでは難しいという最大の実証例かもしれません。