[東京 31日 ロイター] - 金融庁は31日、2023年度の税制改正で、小額投資非課税制度(NISA)の拡充を求めると発表した。岸田文雄政権が進める「資産所得倍増プラン」に沿った政策として実現したいとしている。

NISAは個人投資家を対象とする少額投資の非課税制度。年間で投資できる上限があり、配当や分配金、譲渡益などの運用益にかかる税を一定期間ゼロにする。現在、「つみたてNISA」「一般NISA」「ジュニアNISA」の3種類がある。

金融庁では「簡素で使い勝手の良い制度に」するべく、安定的な資産形成を促進する観点から、長期・積立・分散投資による「つみたてNISA」を基本とし、制度の恒久化や年間投資枠の拡大、非課税限度額の拡大を求める。限度額の設定など実際の制度設計の議論はこれからになる。

上場株式や投資信託など幅広い商品が対象となる「一般NISA」は24年1月から2階建ての新制度とすることになっていたが、移行を取りやめ、「一般NISA」の機能を引き継ぐ「成長投資枠」を設ける。「ジュニアNISA」が23年で終了することもあり、「つみたてNISA」の対象年齢を現行の20歳以上から未成年者まで拡大する。

岸田文雄首相が5月に英国の金融街シティーで講演した際、NISAの拡充などで預貯金を資産運用に回すことなどを表明。年末までに「資産所得倍増プラン」を策定する方針としている。

金融庁は、17年度から20年度まで過去4回、NISAの恒久化を要望してきたが実現していない。今回は、政権の政策に沿った要望として、実現を図りたいとしている。

このほか暗号資産において、法人が発効した暗号資産のうち、事業成長のため自己保有しているものについては、期末時価評価課税の対象外とすることも求めている。