「自分も加害者だったんじゃないか」ライムスター・宇多丸に聞く、映画が問い直してくれる問題
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手前味噌ですがこの記事めちゃくちゃおもしろいです。ぜひ読んでいただきたい!
日本でもSDGsという言葉が浸透しはじめてきましたが、日本では環境への意識が多く、人権に対しての意識が他の国に比べて弱いというデータも出ています。
一方で世界では、人種や民族グループ、女性、LGBTQ+、様々な障がいを抱える人などに向き合い、人権問題を解決していこうと変化しており、それは映画などエンタメでもどんどん表現されてきています。 今回ヤフーSDGsでは、アメリカ映画界から私たちが学べることがあるのではないか?ということで、ヒップホップグループ・RHYMESTER(ライムスター)のメンバーで映画評論家としても活動する宇多丸さんにお話を伺いました。
宇多丸さんのお話はとてもわかりやすく、誰でも人権問題に接しているという気づきを与えてくれました。
「必要悪とまでは割り切っていなくても、「まぁ、現実はそういうもんみたいだよね」みたいに見過ごされてきた。つまり、なぁなぁにされてきた問題がたくさんある」
と。
宇多丸さんも、ご自身が過去作った歌の歌詞などを見返してギョッとすることもよくあるそうです。
「自分にはそこまで差別的な意識はないつもりでいたけれど」それでもそういうことがあって、「いやいや、自分はわかっているみたいな、その意識、その発言が一番危ないんだって」と自分を戒めたりしているそうです。
これは自分にもめちゃくちゃ当てはまるなと最近常々思っています。
宇多丸さんも語ってくださっていますが、「誰でも人権問題の当事者」なんです。
他人事にしていたら必ず自分、または自分の子供や孫に返ってくる、そんなことを考えよう、という時代の流れは、決してめんどくさいとか窮屈なことではなく、むしろおもしろくなってきていると僕は思ってるんですけど、この記事で宇多丸さんも熱く語ってくれています。
ニュースや本で見て、なんとなくSDGsとか人権問題を知るだけだと結局感情に刺さってこなくて他人事になりがちだけど、エンタメを通すと物語と一緒に感情移入できて、結果として自分ごとに近づきやすいというお話はなるほど!と思いました。
繰り返しになりますがめちゃくちゃおもしろい。
これを読んで、人権問題について考えていただくきっかけになったら嬉しいです。
注目のコメント
映画を研究している学生として僕も格差や性差を考えさせられる映画を比較的最近公開された映画から3つ挙げさせていただきます。タイトルは全て日本での公開名です。意見は全て僕個人の解釈です。
・ムーンライト(2016)
この映画の中心となるテーマは一人の人間の中に介在する性的趣向などアイデンティティの複雑さとそれを社会規範や不平等なこの世界で定義することの難しさを描いているように思います。またLittle, Chiron, Blackと3つに分けられた映画内のチャプターごとでも黒人として、ゲイとして、貧困にあえぐ層として様々なアイデンティティが描かれています。例えばゲイであることを自覚しつつある主人公に対して"Your name is Blue."(青と言えば男性のイメージが強いですよね)と語りかけたりなど、セリフから読み取れることも沢山あるのでぜひ英語版でご覧ください!もちろんライティングや影の使い方などからも読み取れることはたくさんあります。
・ハンディキャップ・キャンプ: 障がい者運動の夜明け(2020)
オバマ元大統領夫妻が製作総指揮を務めた映画です。障害者だけを集めたアメリカのサマーキャンプの実際の様子を参加者へのインタビューも含めて再構成したドキュメンタリーです。障害者同士でも障害に対するいじめが発生している様子や、その「いじめ」を加害者は「いじめ」だと認識していなかったりなど、普段の自分の生活を振り返ると「あの振舞いは実は相手にとっては…」と思わされるようなシーンも多く含まれています。ぜひ自分の普段の振舞いと照らし合わせながら観ていただきたいです。とあるサマーキャンプで起こった物語を使って誰も仲間外れにしないことの大切さや多様性の力を伝えてくれます。
・ファーザーフッド(2021)
ネットフリックスオリジナルシリーズの映画です。出産の合併症で妻を失った男性が一人で育児に奔放する映画です。主人公のマシュー(男性)は黒人であり、育児に関する知識は全くないいわゆる「典型的な古い男性像」として描かれています。その男性が周囲との関わり合いを通じて「母が中に存在する父親」に生まれ変わっていくさまがコメディチックに描かれています。差別や性差など問題意識を持たずとも誰かの親になりたいと思っている方にも見ていただきたいです!重厚ながらも、とても読み易いインタビューでした。
僕も映画や演劇は「他者の環世界を疑似体験できる」表現媒体だと思っています。最近の映画ですと、『ラストナイト・イン・ソーホー』というホラー映画がまさにそれに当てはまりました。
ネタバレを避けながら記すと、主人公の女性が経験する性的加害による恐怖を、観客も追体験する形となります。
間接的にしか理解できない心情をダイレクトに感じ取れて、「早く映画館から外に出たい」とすら思いました。
もちろん、本当に健康的な被害を及ぼすことはあってはならないですが、映画の価値を再認させてくれる体験でした。