[北京 31日 ロイター] - 中国国家統計局が31日発表した8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.4と、景況改善・悪化の分岐点となる50を2カ月連続で割り込んだ。

新型コロナウイルスの感染再拡大や記録的な猛暑を受けた電力供給制限、不動産部門の低迷などが重しとなった。

7月の49.0からは小幅に上昇し、市場予想の49.2も上回った。

新規受注指数は0.7ポイント上昇、雇用指数も0.3ポイント改善した。一方、サプライヤーの納期を示す指数は新型コロナの影響で0.6ポイント低下した。

今回の統計では、ロックダウン(都市封鎖)解除を受けて6月に回復した中国経済が8月はほとんど改善しなかったことが示された。

8月にはコロナ関連規制が7月より強化されており、アナリストらは中国政府がゼロコロナ政策を緩和する兆しはほぼ見られないとしている。

野村によると、中国の国内総生産(GDP)の15.7%を占める28都市が、29日時点で完全もしくは部分的なロックダウンや他の規制を敷いていた。

また、四川省や重慶など一部地域では猛暑や干ばつにより工業用電力の使用が制限され、台湾の鴻海精密工業や車載電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)などが影響を受けた。

猛暑で一部の建設作業も中断され、8月の非製造業PMIは52.6と前月の53.8から低下した。

製造業と非製造業を合わせた総合PMIは51.7。前月は52.5だった。

第2・四半期の中国経済は、ロックダウンによる需要や事業活動への打撃に加え、不動産市場の問題を背景に急減速した。

中央政府は先週、インフラ事業への資金援助や民間企業およびハイテク企業への支援強化など追加の経済対策を打ち出した。

人民銀行(中央銀行)も銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を引き下げ、住宅ローン金利の基準となる期間が長めの金利について引き下げ幅を大きくした。

ただ、若年層の失業率が過去最悪となり、国内の消費者物価指数(CPI)上昇が追加緩和策の制約となる中、経済は引き続き逆風に直面している。

エコノミストらは、今年前半に成長を支え消費低迷を補った輸出が外需低下の圧迫を受ける可能性もあると警告している。

キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、ジュリアン・エバンズ・プリチャード氏は「PMIは、経済活動再開の勢いが衰え、不動産の低迷が深まるにつれ、経済の勢いが今月さらに失速していることを示している」と指摘。今後数カ月、景気は難しい状況になると引き続き予想していると述べた。

オーストラリア・アンド・ニュージーランド銀行(ANZ)のチーフエコノミスト、レイモンド・ユン氏は、需要が弱まったと指摘し、2022年の国内総生産(GDP)伸び率予想を4.0%から3.0%に引き下げた。

一方、ジョーンズ・ラング・ラサールのチーフエコノミスト、ブルース・パン氏は、政府の支援策が弱い内需を補い、信頼感を高めることが期待されていると述べた。