日本のレベルを上げるため、あなたがまず世界に出よ
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スタンフォード生の母親が「子どもが公務員になった」と言うと周囲は、「へえ。郵便物を配達する人になったんだ」とイメージし、東大生の母親が「息子がベンチャーを始めた」と言うと周囲は「かわいそうに、大企業に入れなかったんだ」となるという。安定志向かどうか。「安定にエキサイティングはない。」
齋藤ウィリアム氏の日本の大学教育改革についてのインタビュー記事三回目。前回、前々回の内容も違和感があったのだけど、連載が終わるまで待っていた。
ここで指摘されているのは、英語教育、プログラミング必修化、留学、エリート教育、などなど。大学改革問題は、入口(入試)、中身(カリキュラム)、そして出口(就職)の問題があるが、これらはすべて中身(カリキュラム)のはなし。すべてもっともな指摘であり間違ってはいないのだが、これらすべてもう随分前から議論しつくされていて、その期待効果もほぼわかっている。ではなぜこうしたカリキュラムの改革が進まないかというと、日本の大学の意思決定構造が関係している。
日本の大学のカリキュラムは、基本的には各学部や研究科に決定権がある。いくら学長や大学本部が方針を出しても、各学部の教授会で承認されない限り実施には移されない。これが日本の大学特有の「学部の高い独立性」である。さらに、カリキュラムの改変は人事にも直接的に関わる。日本の大学の教員ポストは各授業に紐付いており、授業を増やしたり減らしたりすることは、すなわち教員の首をすげ替えるということ。なので、さらに改革が進まない。大学の外から見ると、「プログラミング授業や留学の必修化なんて簡単じゃん」と思われるが、大学のカリキュラムを変えることには甚大なコストと時間がかかる。
僕が個人的に実現性も効果も高いと思うのは、こうした中身の改革ではなく、入口の入試改革。入口を変えれば、入ってくる学生の質ががらっと変わる。そして、入試制度は、完全にではないが大学本部のコントロールが効きやすく、全学的な改革を進めやすい。昨今のAO入試に関わる諸問題も、その功罪の罪の面で影響が出ているのであって、入試制度がいかに大学の人材輩出に大きな影響を与えるかということの証左である。