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NewsPicks編集部のオリジナルニュース連載。いま知りたい注目ニュースを、わかりやすい解説や当事者インタビューなどでお届けする。
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総合重機大手。資源・エネルギー、社会インフラ、産業機械、航空・宇宙の4つの事業分野を中心に展開。民間航空機用ロングシャフトや、ターボチャージャーなどが世界シェアトップクラス。
時価総額
6,238 億円
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福島事故前、原子力は日本の電気の約3割を賄い、さらに拡大していく計画でした。民主党鳩山政権が掲げた非常に野心的な(野心的と書いて、ほぼ不可能な、と読みます)温暖化目標を満たすために、政府は2010年当時、その後10年で9基、20年で14基の原子力発電所を新設するとしていたのです。原子力発電の建設に地元の方々の理解と同意を頂くのがどれほど大変なことかを知っている電力会社からもこの計画の無計画性は批判的に受け止められていましたが、発電部門からでるCO2を減らすには、再生可能エネルギーと原子力の両方を活用する必要があったのです。
それが事故を契機に、「原発政策の議論をおざなりにしたまま、環境政策が論じられてきた。」わけです。より正確に言えば、原子力という手段を外したうえで、より高い温暖化目標を掲げたわけです。脱炭素と脱原発の二兎は追えません。
この10年で再エネを十分にやっていればと感じる方も多いでしょうが、日本のこの間の太陽光発電の増え方は世界に例を見ないスピードです。太陽光発電導入量では世界第3位にまでなっていますが、1億2000万人を超える人口と製造業主体の産業構造を支えるのは無理です。
現実的に原子力はやらざるを得ない。であればいかに安全性を高めて、いかにコスト安く原子力を使えるようにするかを議論すべきだったのであり、避けて通れないものにようやく政治が向き合ったというところでしょう。
その辺を十分理解して書かれた記事だと思ったのですが、それだけになぜ、新増設に『走る』という言葉を使ったのかちょっと違和感です。
課題も山積しています。原子力損害賠償制度、原子力防災力の向上、技術・人材の維持、廃棄物処分の課題などです。また、福島の復興や廃炉は着実に進め、福島の方たちへの説明も果たしていかねばなりません。
ただ、これらは技術の課題というより、多くは政治の課題です。
ここからが政権、そしてエネルギー行政に携わる方たちの正念場だと思います。
なお、昨日の会議に関しては、原子力に注目が集まるのですが、再エネ活用の加速化に向けた系統整備や蓄電池などについても取り組みを進めるよう首相から指示がありました。再エネと原子力という、化石燃料を使わない電源を主力にしていくということです。
中国の現有の原発は51基、2021~2025年の計画では、建設中が19基、計画ではさらに24基新設されるはずで、達成されれば、米国を越えて世界1の数になります。
インドでは、運転中の原発は23基、建設中が6基です。計画ではさらに6基が新設されるはずです。主にロシアの国営企業が受注して新設が続いています。
インドは、これまで石炭火力発電主力でやってきていますが、とにかく電力が足りないので、原発は有力な電力確保の手段です。
他にも、トルコがロシア企業に、パキスタンが中国企業に、原発を発注しているなど、アジアでこそ原発の新設が相次いでいます。中国企業とロシア企業が、原発建設の世界シェアを大きく伸ばしています。
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/06/da698de79441cff3.html
https://www.jaif.or.jp/cms_admin/wp-content/uploads/2021/12/worldnuclear20211202.pdf
そもそもNewsPicksは経済ニュースがベースですから、理性的で科学的な議論を積み重ねるように記事を書くべきだと思います。安全保障や防衛などについては丁寧な論考記事が読めますが、こと原子力発電になると冷静ではない情緒的な傾向が出てしまっています。副編集長のコメントもそうです(前回の記事のように)。
編集部は、竹内純子先生にじっくりインタビューして、エネルギー問題を集中的に記事にしたらどうでしょう。読者を軽んじるような「3分でわかる」などお手軽にする必要はありません。非常に大切なテーマですから読むのにいくら時間がかかってもかまいません。NewsPicksは朝日新聞とは違うんだ!というところを見せてください。
SMRの経済的コストが従来型より軽減される、というのは、推進側の希望的観測としてあるものの、現実的な根拠はありません。むしろ、大型化による大量発電が可能な既存原子炉より割高になる可能性の方が高く、それが課題とされてきました。(経産省資源エネルギー庁のHPですら、「経済性も向上する可能性があります」という表現に留めています)
すでに原発の発電コストが決して安くないことが判明している今、既存原子炉より経済性が劣るとすれば、導入するメリットは本当にあるのか。もちろん、次世代に大きな負担を残す廃炉や核のゴミの最終処分の問題もあります。中長期的なエネルギー全体の政策に関わる話なので、少なくとも、どんな議論を経て今回の方針に至ったのか、もっと丁寧な説明が必要ですし、転換するにしても、客観的根拠に基づく、幅広く、かつ透明性の高い議論が必要なのではないでしょうか。
原発のコストについては下記の記事でも紹介しています。
https://newspicks.com/book/3305/article/7129693?ref=book_3305
作家の浅田次郎さんをはじめとする日本ペンクラブ環境委員会のメンバー8人で、チェルノブイリ(チョルノービリ)を訪れたのはちょうど10年前の2012年だった。福島の原発事故の翌年だ。後日、報告会があって、その時の浅田次郎さんの言葉がとても印象に残った。
「こめかみに銃を突きつけられているのに、さて今日の夕ご飯は何にしようか? と言ってるいるようなものだ」
ひとたび事故を起こした、その後の悲惨さ。10年以上経っても、その処理対応の方法も見つからず。さらに核のゴミ問題は、少なくとも向こう数10年は目処さえ立っていない。
このまま再稼働、新増設に突き進んでいいのか。もはや後戻りできない所まで来てしまっているとはいえ、ソレでもまだ先に進み続けていいのか。後を引き継ぐこれからの人たちに、こんな大きな負の遺産を増やし続けていいのか。あまりにも破滅的な将来になりはしないか。
この先3年も国政選挙がない中で終わった後のこのタイミング?この10年原発も政治イシューとなり議論することさえ避けられる風潮だった。今年になったエネルギーを取り巻く環境が変わり国民負担としても直面するようになった今だからこそ丁寧で建設的な議論ができるとき。だからこそ参院選でイシューにすべきだった。
https://www.channelnewsasia.com/singapore/nuclear-geothermal-energy-singapore-decarbonising-power-electricity-2689846
世界中が熱波に襲われてる中では現実解を選ぶしかない。
核廃棄物処理問題と再エネへのシフトを並行しつつ、送電網の整備、蓄電池事業の推進も進めていかなければならない。
この10年で石炭火力の比率が上がったのは先進国では日本だけ。GXの推進と電力需給の両立は岸田政権最大の課題だが、これに成功すれば歴史に残る首相になる。それこそ国葬に値します。