東工大、東京医科歯科大の統合協議で、「第二東大」目指した盟友・一橋、東京外大はどこへ向かうか
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母校の東京医科歯科大学が東京工業大学と統合するのは、国際卓越大学申請に向けての連携なのはわかるが、いわゆる文系学部を抱えずに卓越した大学となるためには、この際、リベラルアーツ教育について熟考して良い解を導いてほしい。他の大学にも大きな影響を与える統合として着目されるだろう。
この記事の、75年前から掘り起こした歴史については参考になった。合併のメリット、というのは、それほどわかりやすいものではありません。
わかりやすいメリットというのは、
・大きなプロジェクトが取れる
・シェアが取れる
ということです。
仮にですが、たとえば国内自動車メーカーの1位と2位が合併したとしましょう。
世界1位の販売台数とシェアを持つ自動車メーカーをつくることはすぐにできます。メガバンクの合併などと似たような話です。
仮に、日本政府が巨大なプロジェクト、公用車の全面的な自動運転化、というようなプロジェクトに巨額の予算を投じる場合、この1位と2位が合併した自動車メーカーが主体になるでしょう。
東京工業大学と東京医科歯科大学の合併であれば、たとえば医療工学の研究プロジェクトでトップの予算、トップのシェアを取ることができるかもしれません。
ナノバイオマテリアルであるとか、ニューラルネットワークを利用した医療AIとかで、産業的にも大きな意義のある研究が進み、世界大学ランキングでも、かなり上にあがることができるでしょう。
それでは、どんどん合併するのはそんなにいいことなのか、大きいことはいいことなのか、というと、それほどわかりやすいものではありません。
企業を片っ端から合併して、超巨大企業にすれば万事いいことずくめであるなら、簡単な話です。実際は、そんなことはありません。消費者の利益になるとも限りません。
世界シェアトップになったとして、合併で日産やホンダの独自の持ち味、強みがなくなってしまうかもしれません。
合併したから、社員や教員や学生を減らせるかというと、そんなわけにもなかなかいかないので、コストカットになるわけでもありません。
東京芸術大学のような、独自性の強い大学が、合併に参加しないのは、当然のことです。あそこは、大学教員といっても、おおよその大学の教員とはまったく別の人種です。
独自の強みがあって独自の輝かしい業績が歴々と積み重なっているような大学であれば、大手に吸収されて、シェア拡大に利用されて終わり、ではもったいないです。
一方で、合併の長所というのはこれはこれであるので、ケースバイケースです。何でもいいから合併して大きくすればいい、というようなものではないです。統合する場合でも、母校の東京外語大の専攻語学はフルラインナップで残ってほしい。日本で唯一教えている語学も少なくない。そこから、いわゆる特殊言語のスペシャリストが育成され、他国にはない分野や地域に食い込んでいる人たちがいる。数名しかいない語学の学生に対して、先生が複数人ついているという環境を、統合の過程で理解されるかどうか、そこが大きな懸念点。
私がいたマレー語学科は、15人ほどの学生に対して、社会科学系の専任教授1名、言語学系の専任教授1名がいて、更にマレー語を教えるためのマレーシア人や日本人の非常勤講師が複数名。そして、東南アジア研究という枠でマレーシアの政治、歴史、文化など各大学や研究機関からの第1級の研究者や、若手の急成長研究者が出講。近隣国についても同様の教授陣であり、東南アジアについて(ほかの地域も)、日本でここまで深く学べる大学は非常に限られている。