ユビー、“本業”はこれからだった
コメント
注目のコメント
Ubie 共同代表取締役 医師の阿部です。
今回シリーズCファーストクローズの資金調達のリリースをきっかけに、当社の新事業についてNewsPicksさんにご取材いただきました。
取材時に私が言葉足らずな部分がありこちらのコメントにて補足させていただくと、実現したい世界としては「全ての患者さんと最適な医療との出会いを最速・最大化すること」です。
参考:
「全ての患者さんと最適な医療との出会いを最速・最大化する医療プラットフォームへ」
https://note.com/abeyoshinori/n/nc220a3244869
世界トップクラスの医療をほこる日本でさえ、一部の患者さんにしか適切な治療は届いていません。
大学病院で働いていた頃、患者さんの入院時に問診を行って病歴を作成しましたが、発症から今まさに治療目的で入院されるまで、5年10年かかっている方は山のようにいらっしゃいました。
その間患者さんは、色々調べるものの情報は濫立しており、何かおかしいけど原因がわからない…と、悩み・不安を抱えながら生活されています。そして実際にその間病状は進行していきます。時には治療機会を逃し、命を落としてしまう患者さんや、そこまでとはいかずとも、生活に支障が出る状態になってしまう患者さんもいます。
また医療機関様においても、医師の皆様が多忙な中、専門外の疾患や希少疾患に関する膨大な量の最新情報を把握・更新し続けることは難しく、製薬企業様も自社の疾患・医薬品に関する情報や科学的知見を適切に情報提供し続けることは容易なことではありません。
そこで、我々が5年掛かりでつくった医療プラットフォームを活用し、患者さん、医療機関様、製薬企業様それぞれに必要なタイミングで必要な情報をお届けすることで、医療に関わるみなさまをエンパワーメントし、「全ての患者さんと最適な医療との出会いを最速・最大化すること」を実現したいと考えています。
この実現に向け、新規事業のグロースをお任せできる人材ならびに医療機関向け事業の導入・サクセス支援人材の増強に調達資金の多くを費やしていく予定です。
医療機関様・製薬企業様と共に、全ての患者さんと最適な医療との出会いを最速・最大化できるよう邁進してまいります。いわゆるAI問診の試みは世界中で行われており、「症状チェッカー(Symptom Checker)」として広く使用されています。日本は医療アクセスが良すぎるという背景もあり、これまでそれほど活用されてきませんでしたが、欧米など医療費が高かったり医療アクセスが悪い地域では、自己診断のツールとして普及しています。なお、これまで最も正確とされているAI問診システム「Isabel」は8~9割の確率で病気を診断することができると報告されています。
AI問診の不得意な点は、「問診内容の重要度に重みづけができない」、「複数の病気がある場合にうまく対応できない」、「患者の社会的背景を考慮できない」といったものがあげられます。こういった背景から医療分野のAI活用は問診よりもより客観性が高い画像診断や病理診断で発展してきた歴史がありました。ただ、AI問診システムは患者にとっても医師にとってもメリットが大きく、特に医師にとっては、「本来考えるべきだったが見落としてしまう疾患を見落とさずに済む」、「問診の時間を削減できる」ということに繋がります。長い目で見れば今後クリニックや病院など様々な場面で活用は広がっていくものと予想しています。薬を飲んで、その効果に驚くことがある。効き目があるから薬なわけで、当たり前のことなのだが、我慢しなくても、薬で解決できることがあるのだと実感する。
一方、異変を感じて病院に行っても、症状が良くならないこともある。一過性の症状だったりすると、受診を先延ばしにしてしまうこともある。
そう考えると、医療のミスマッチは想像以上に多いのかもしれない。
ユビーの新事業は、こうしたミスマッチを解消しようというもの。
日本の医療費は42兆円。高齢化で拡大傾向にある医療費は大きな課題。今は、主に薬の値段を下げて医療費を抑制しようとしているが、受診の適正化を図ることで解決できることもあるだろう。
世界トップクラスの「AI問診エンジン」を医療機関、さらに一般ユーザーへと普及させ、世界でも類をみない医療プラットフォームを構築しつつあるユビー。
医療のミスマッチは日本だけでなく、グローバルでもまだ解決できていない課題といえる。
日本発のプラットフォームが登場しない中、国民皆保険という日本の基盤を活かし、世界的なプラットフォームになれるか――。
まずは国内でいかに基盤を築くかだが、世界を見据えたスタートアップの戦い方という意味でも、今後の展開を注視したい。