2022/8/6

【要点だけ】今週の重要ニュースを1分でキャッチアップ 

NewsPicks 編集部 記者・編集者
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INDEX
  • ①米下院議長が台湾へ
  • ②サハリン2、権益どうなる
  • ③トヨタ、円安で上方修正

①米下院議長が台湾へ

(画像:NewsPicks編集部)
💡概要
アメリカのナンシー・ペロシ下院議長が、台湾を訪問し、蔡英文(ツァイ・インウェン)総統と会談しました。アメリカの現職の下院議長による台湾訪問は、1997年のギングリッチ氏以来、25年ぶりです。
今回の訪問について、ペロシ氏は台湾を「見捨てない」ことを明白にするためだと説明し、台湾の民主主義を支える考えを強調しました。ペロシ氏は日本も訪れ、岸田文雄首相と会談。台湾海峡の平和と安定を維持するため、引き続き日米で緊密に連携していくことを確認しました。
その一方で、中国は猛反発。台湾を取り囲むような形で、軍事演習を開始し、弾道ミサイルを発射するなどしています。
日本のEEZ(排他的経済水域)内に、中国の弾道ミサイル5発が落下。日本は中国に強く抗議し、軍事演習の即刻中止を求めました。
🤔ちなみに...
アメリカの下院議長による台湾訪問。なぜ、このニュースが重要なのでしょうか?
この理由は、3つあります。
  1. 下院議長という立場:台湾とは正式な外交関係は存在しておらず、大統領や副大統領が訪問することはないため、実現できる中で最高レベルの要人の訪問ということ。
  2. ペロシ氏の信条:対中国では30年以上前から共産党による人権弾圧を強く批判してきた「中国の天敵」。そんな人物の台湾来訪は、中国にとって、非常に敏感な出来事。
  3. 訪問日程や内容:1泊2日で訪れ、蔡英文総統らと会談する本格的な訪問。過去に1度あった下院議長の台湾訪問時は3時間立ち寄っただけで、北京にも訪れるなど、中国側にも最大限の配慮をしていた。
NewsPicksでは、このほか「台湾問題の基礎」なども含めて、Q&A方式で解説しています。
ポイント
①アメリカの現職の下院議長の台湾訪問は、25年ぶり。
②中国は猛反発。台湾を取り囲むように軍事演習を始め、弾道ミサイルを発射。
③ミサイルは日本のEEZ内にも5発落下し、日本政府は中国側に抗議した。

②サハリン2、権益どうなる

サハリン2(写真:AP/アフロ)
💡概要
ロシアは3日、日本企業が出資するロシアの石油・LNG(液化天然ガス)事業「サハリン2」について、事業を引き継ぐロシア企業の設立が決定したと発表しました。現在の運営会社には、三井物産が12.5%、三菱商事が10%を出資しています。
新会社の設立は、プーチン大統領が6月30日に署名した大統領令に基づくものです。
大統領令では、外国企業に対して、設立から1カ月以内に株式の譲渡に同意するかどうか、ロシア側に通知する必要があるとしています。
サハリンは、日本から距離も近く、日本のエネルギー安定供給の重要な拠点です。
そのため、日本政府はサハリン2に関する日本企業の権益、そしてLNG調達を維持する方針です。萩生田光一経済産業大臣は「企業が単独で判断するのではなく、政府としてもしっかりサポートしたい」としています。
🤔ちなみに...
財務省の貿易統計などによると、日本はLNG輸入量で、世界2位(約7400万トン)です。そして、サハリン2は日本に、約600万トン(LNG輸入量全体の8%)のLNGを供給しています。
もし輸入が滞ったとすると、日本の電力・ガス会社はスポット(随時契約)取引で、LNGを調達することになります。
ただ、長引くロシアのウクライナ侵攻の影響で、世界的にLNGの需給は逼迫。アジア向けのLNGのスポット価格は、平年の夏に比べて10倍近くも跳ね上がっています。
電力・ガス会社、ひいては、我々の生活に、どれだけの影響が出るか懸念されます。
NewsPicksではロシアのLNG事業や、日本のエネルギー安全保障に関する解説記事を配信しています。イギリス石油大手シェルがサハリン2からの撤退を決めたことを受けて、3月に配信された記事ですが、今読んでも学びがあります。
ポイント
①サハリン2は日本のエネルギー安定供給の重要な拠点。サハリン2からのLNG供給量は、約600万トン(LNG輸入量全体の8%)。
②サハリン2に出資する日本の商社2社は1カ月以内に、株式の譲渡に同意するかどうか、ロシア側に通知する必要がある。
③日本政府はサハリン2に関する日本企業の権益を維持する方針。

③トヨタ、円安で上方修正

(写真:つのだよしお/アフロ)
💡概要
トヨタ自動車が、2022年度の業績予想を上方修正しました。
これまでの予想との変化は、下記の通りです。売上高と純利益が引き上げられました。
2022年度の業績予想 ※一番右は前回予想との変化
売上高:33兆円 → 34.5兆円(前年同期比10%1.5兆円引き上げ
営業利益:2.4兆円 → 2.4兆円(同20%変化なし
純利益:2.26兆円 → 2.36兆円(同17%1000億円引き上げ
🤔ちなみに...
上方修正の大きな要因は円安です。トヨタは、通期の為替レートの前提をドル15円、ユーロ10円、円安方向に見直し、ドル130円、ユーロ140円としました。
想定為替レートを円安に見直すと、ドル建ての資産を円に換える時に為替差益が発生します。この効果が、業績の上方修正につながりました。
また、営業利益は据え置いたものの、増減の要因は見直しました。
営業利益の増減要因 ※カッコ内は前回予想との変化
増益:円安で8650億円(6700億円引き上げ
減益:資材高騰で1.7兆円(2500億円引き下げ
円安が増益要因として挙げられた一方、減益要因として、資材高騰の影響がさらに強まると見通しています。
ポイント
①通期予想は売上高1.5兆円、純利益1000億円の引き上げ。
②大きな要因は円安。
③一方で、減益要因として、原材料高の影響がさらに強まると見通した。