米中首脳、台湾巡り応酬 気候変動で対話継続
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今朝未明、新華社が配信した公式なリリースを読みましたが、改めて実感した点は3つ。
①王毅国務委員兼外相によるカウンターパートとの会談に比べ、習近平国家主席のバイデン大統領に対する批判のトーンは微妙かつ明白に緩やかである点。例えば次の表現。今回の(一連の)会談で中国側が最も強く主張したい内容;
「戦略的競争の視角から中米関係を認識、定義し、中国を最も主要な相手、最も深刻な挑戦と見なすことは、中米関係に対する誤った判断であり、中国の発展に対する誤読であり、両国国民と国際社会をミスリードする行為である。双方はあらゆるレベルでの意思疎通を保持し、既存の対話チャネルを有効活用し、二か国間の協力を推進していくべきである」
王毅の時のような、悪者の主語を一方的に「米国」に据える論調ではなく、問題点を指摘しつつも、前を向く姿勢が垣間見れます。習近平陣営として、首脳同士の会談を重視し、かつ首脳レベルでは互いに対する必要以上の批判は控えることで、両国関係を安定的に管理しようという意思の表れでしょう。
②足元で、習近平が最も警戒するのが台湾問題である点。習近平はバイデンに対し「(中国の)民意に背くことはできず、(米国の)挑発は自らを貶めるのが必至である」と意味深長に伝えています。ナンシー・ペロシ下院議長の訪台が世論を賑わせていますが、中国は最高レベルの警戒度と緊張感でそれを注視し、仮に起こった場合、これまでとは異なる次元の報復措置を取るでしょう。
③首脳対話、ハイレベル(閣僚)対話、実務対話を継続的に展開していくという意思を交換、確認し合った点。「競争的共存」関係は秋の党大会、中間選挙を跨いで続いていくものと思われます。2時間を超える電話会談で、主な議題は、台湾問題でした。
特にペロシ下院議長の台湾訪問計画でしょう。
折り合いがつかなかったため、長引いたと考えられます。
習近平主席は、バイデン大統領に対して、「火遊びをする者は消え去ることになる。」と電話会談で述べたと伝えられています。
ペロシ下院議長が台湾を訪問した場合、
中国側は、「軍事活動の拡大」によって対応するとしており、「人民解放軍はあらゆるシナリオに対応する準備ができている」「ペロシ氏の無事の帰国は保障できない」「その結果起きる事態の責任は米国にある」という声明を出しています。
中国政府がペロシ下院議長の台湾訪問を米国政府が考えるよりもはるかに重視しているか、あるいは、もともと何か計画があってペロシ下院議長の台湾訪問をそのきっかけにしようとしているか、でしょう。
米国海軍は、ペロシ下院議長の台湾訪問に備えて、第5空母打撃群をシンガポールから台湾近海へ移動させています。
米国の政治家たちよりも、米軍の方がより深刻な事態を予想しています。最初から何か解決をするのではなくて、米中が「いつものすれ違い」があることを再確認する外交イベント。ただ、再確認し、中国側が強硬な動きをしないように牽制することが外交上は非常に重要です。
どうしても台湾問題が私たちにとっては焦点になりますが、カービー報道官がここ数時間のアメリカのいろいろなメディアで繰り返して言っていうように争点は人権、環境、貿易、ウクライナなどいろいろ。
台湾情勢については、ペロシ訪台の可能性に対して「軍が難色」というバイデン発言を中国側は利用するかのように、強硬な態度をにおわせていますが、ここで訪台を見送ることは中国を利することにもなります。