2022/7/28

【新】カーボンニュートラル経営で「大躍進」した企業の秘密

Neural Inc. Founder & CEO
まるで預言者のように、新しい時代のムーブメントをいち早く紹介する連載「The Prophet」。今回登場するのは、『武器としてのカーボンニュートラル経営』を著した、ESGコンサルタントの夫馬賢治氏だ。
カーボンニュートラルとは、CO2やメタンといった温室効果ガスの大気への排出量をプラスマイナスゼロにすること。歯止めがかからない地球温暖化を食い止めるために、世界中の国々がカーボンニュートラルに乗り出している。
日本でも2020年10月に当時の菅義偉首相が「2050年までにカーボンニュートラルを目指す」と宣言し、官民が達成に向けて動き出している。
温室効果ガス削減というと、政府や大企業などの役割が大きいと考えがちだが、中堅・中小企業にも活躍の場がある、と夫馬氏は言う。
INDEX
  • 取り組まなければ日本経済は衰退する
  • カーボンニュートラル化で業績UP
  • 成功する会社「4つの共通点」

取り組まなければ日本経済は衰退する

──カーボンニュートラルという言葉をメディアで見ない日はなくなりました。企業にとっても、カーボンニュートラルを実現する重要性が高まっているようですね。
夫馬 重要性どころか、今や、すべての企業が「取り組まなければまずい」状況に来ているのが実態です。
カーボンニュートラルという言葉が日本に広まったきっかけは、2020年に当時の菅首相が所信表明で宣言したことです。
そのイメージから、2016年に発効したパリ協定をきっかけに、政府が旗を振って、企業にカーボンニュートラルへの取り組みを要請したと思っている人は少なくないでしょう。
ニューヨーク国連本部で行われたパリ協定調印式(写真:Anadolu Agency / 寄稿者 / GettyImages)
しかし、実際は政府が働きかけたわけではありません。最初に声を上げたのは、企業と投資家です。
経団連からも、「日本政府が気候変動に対してもっとアクションを起こさないと、我々はグローバル市場で生き残れなくなる」という提言がありました。
──なぜそのような声が上がってきたのでしょうか?