2022/7/28

【直談】NEC社長、両利き経営の「等身大」を大いに語る

NewsPicks 編集部
アマゾン、ネットフリックス、マイクロソフト、ウォルマート、ソニー。
これらの企業に共通するのは両利きの経営を実践していること。既存事業と新規事業を両輪で進める優秀な企業たちで有名だ。
常に世界経済の変化に対応し、既存事業を深化させる一方で、新たな事業への投資をためらわない。
では両利きの経営はこういった“選ばれし企業”しかできないことなのか。そんなことはない。
そこで今回取り上げるのがNECだ。
NECは123年の歴史を持つ日本の大企業。
1980年代には世界トップの半導体メーカーとして名をはせ、半導体の他にも携帯電話やコンピュータの分野で日本のトップシェアを占めるなど大いに活躍した。
しかし、ここ20年の業績は海外をはじめとする競合企業の参入により、低迷してしまっている。
ただ何もしていないわけではない。NECも両利きの経営を実践している。
AIを使い、アグリテック(農業テック)や創薬など既存事業とはかけ離れていることにも実は挑戦しているのだ。
そこで今回は両利きの経営の提唱者であるオライリー教授と共に、NECの森田CEOを直撃し、両利きの経営のリアルを聞いた。
INDEX
  • 両利きの経営の苦悩
  • 新規事業は喧嘩の種に
  • 両利きのジレンマ
  • 両利きが企業に光を与える

両利きの経営の苦悩

──両利きの経営に着目されたのはいつ頃ですか。
森田:リーマンショックに続いて東日本震災が起きた2011年頃です。私たちは大きな損失を出したので、全世界で1万人もの従業員を削減せざるをえなくなり、進むべき道を失ってしまったのです。
1977年に小林宏治会長が世界に向けて発信した「C&C」のビジョンはとても素晴らしいものでした。
しかし現在のビジネスにおいて、テクノロジーだけでは、お客さんに価値を提供することはできません。