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死刑執行のニュースは、あまり多くの人の心には響かないかもしれません。「○○年ぶり」「○○政権で×回目」といった定型の報じ方に違和感を感じる方もいるでしょう。それでも、日常生活の中で普段まず考えることがない「死刑」についてちょっと考えてみるきっかけにはなります。なぜ日本はまだ死刑制度を持っているのか、そもそも刑罰って何なのか……ほんの数分でも、考えをめぐらせてみることをお薦めします。
私が傍聴で目にした死刑囚お2人のうちの1人。一審判決前でしたが死刑は間違いのない状態でした。開廷前には私語はないものの衣擦れの音などで多少はザワザワしていた法廷内の空気が入廷で一瞬にして重苦しく静まり返り裁判官が紙を捲る音まで聞こえてくるようでした。その日は二言三言しか発言というか確認の受け答えがあった程度でしたが声の高いオタクっぽい感じかと思ったらバリトン調だったような気がします。証人に警察官と家電量販店の方が出廷して証言など行い、防刃チョッキの上から背中の脇を刺された警官の方はものすごい怒ってました。警官も裁判で怒っていいんだと驚いたほどです。防刃のプレートがズレていたら或いはチョッキを着てなかったら致命傷も免れない腎臓の辺りにほつれというか生地の傷があったのを検察が傍聴席にも見えるように拡げていました。もう1人の家電量販店の方は歩行者天国のあったみんなの秋葉原を返して欲しいというようなことを仰っていました。ニュースが嘘ついているとまでは言いませんし何度もある公判の一部分だけ聞いてもむしろバイアスがかかってしまうかもしれません。被告の生い立ちの回とか聞けばきっと同情に傾く人もいるでしょう。ただやはりなぜ傍聴が国民に認められているかを考えれば行けるときには行くと何らか得られるものはあるなと思います。もう10年くらい行けてないのですが。
日本では死刑制度に賛成している方が少なくありませんが、世界の多くの国は廃止の方向に動いています。死刑に積極的なのは独裁的な形態の政治を行う国と宗教的な見地から「報復」を妨げない考え方を有する国に偏っています。

殺人など人に危害を加えて成立する凶悪犯罪は女性によるものは男性に比べて少なく、死刑判決を受ける女性は世界的に少ない中、中東諸国などで比較的多いことは女性の権利の認め方と関係していると言われています。最近ミャンマーで死刑が急増しているのは独裁化の手段として使われていることと関係しています。
正規と非正規の分断、その歪みと格差が暴発した事件と受け止められました。その後の捜査や取材で、ネット掲示板の中の居場所をなくした死刑囚が、自暴自棄になっていたことも伝えられました。リアルとヴァーチャルの境目という議論も起こりました。政治学者でありながら、この事件を追跡した中島岳志さんの『秋葉原事件 加藤智大の軌跡』は、ネット掲示板の書き込みから自らが追い込まれていく元死刑囚の心理状態を見事に描いています。単純化することは危険ですが、「拡大自殺」の事件だと私は考えています。この後も、京アニ放火殺人、大阪クリニック放火殺人、小田急・京王線無差別殺傷事件など「拡大自殺」とみられる事件は増え続けています。そして容疑者は高齢化し、全世代型の犯行になりつつあります。
生きづらい社会を改善することが、同種の悲劇を防ぐ道です。あまりにも遠い道ですが。
死刑制度が存続する以上、執行はやむを得ません。

欧米からは日本が死刑を存続させていることに対する批判がありますが、私は以下の理由で余計なお節介だと考えます。

1死刑を存続させるかどうかは、国民の意識によって決めるべき問題です。
(日本人の多くは、死刑存続を支持しています)

2 キリスト教世界だと「人が人を裁いてはいけない」という教えがあります。それゆえハムレットは悩むのです。

3 日本には仇討ちという制度が長らく存続し、仇討ちが禁止されたのは明治時代になってのことです。
死刑という形で仇討ちを果たしたいという意識が遺族には根深く残っています。

4 死刑の最大の欠点は誤判によって無実の人が命を奪われることです。本件のような明々白々の事件では誤判の余地はありません。

5 日本には絶対的終身刑がなく、25年とか30年経つと仮釈放で出てきます。遺族感情として許せないと同時に、社会の安全にとっても脅威になります。
秋葉原の歩行者天国にトラックで突っ込み、さらにナイフで歩行者を襲う凶悪な事件でした。「死刑になりたい」と無関係のヒトを巻き込む事件は、この前の茨城・土浦連続殺傷事件の元死刑囚くらいから、背景として出てくる話でした。凶悪な犯行、身勝手な理由は決して許されません。確定判決に記された背景を検証する中で、社会が手をさしのべることができる機会はなかったか。声をくみ取る仕組みは課題だと思います。
刑事訴訟法第475条

条文 死刑の執行は、法務大臣の命令による。 前項の命令は、判決確定の日から6箇月以内にこれをしなければならない。 但し、上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同被告人であった者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間に算入しない。

その後再審請求していたのかは知りませんが、2015年に最高裁が上告を棄却して死刑が確定していたにも関わらず、6ヶ月以内に執行していない(ルール通りに行われていない)ことはちゃんと添えて報道すべきだと思いますけどね。まあ、ほとんどの死刑執行が6ヶ月を超えて(というか何年、十年以上経ってから)行われている事実はあるんですけど、割れ窓理論のように当たり前になっても困ります。

NHKによれば
平成19年以降
平均:5年
最短:1年4ヶ月
最長:18年
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/1376.html

で、タイミング的に何かを意図したと思ってしまうわけです。
行政の手続き、死刑の執行ってそういうものではないはずですが。

私は冤罪の可能性を否定できない以上、死刑制度そのものには反対の立場です。
が、ルールが全くルール通り行われておらず、その大本のルールの法改正すらしないで違法状態がまかり通っていることに対しては問題だと思っています。
フランスでは1981年に死刑が廃止された。ただし、この時の国民世論は、死刑廃止反対の声が大きかった。しかし、選ばれた者(エリート)たる政治家の仕事の一つは国民を教育することであり、当時のミッテラン政権は、それを実行した。
裁判が終わって罪が確定してから7年以上。
法律で決まった刑罰の執行になぜこんな時間が
かかるのがシンプルに理解出来ません。
死刑については、実在の死刑執行人一族のサンソン家を扱った漫画「イノサン」が示唆に富む。