【秘伝公開】社長に「ウチも両利きをやれ」と言われたら
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外部人材の活用が失敗に終わっているとの指摘ですが、それは外部人材の方にも『両利き』の姿勢やスキルが必要なのではないでしょうか?
先ずは自らに期待されたミッションを自分の過去の成功体験に酔うことなく、それを異なるビジネスや組織に適応し、カストマイズしていく企画応用力
それを実現するために社内のリソースを上手く活用し、組織化する関係構築力
私が横から観察してきた外部人材、かつては大手コンサルティング会社の
事業開発コンサルタントが主でしたが、2000年代からはいきなり執行役員に
就任する実績者が増えてきているように見受けられます。
いずれにせよ、右利きだけの人(企画応用力はあるが関係構築力でつまづく)
左利きだけの人(社内関係構築だけでカストマイズが出来ない)、どちらも出来ない人(自分の成功体験を単に当てはめるだけで当該企業のビジネス特性や組織風土等の考察がない)に分類出来ました。
両利きの外部人財とは、社内リソースからベテランインサイダーを発掘し、動機付け、彼らが能力を十分に発揮出来るようにトップに適宜、働きかけ、自分の成功体験に溺れずに、彼らの協力を得てカストマイズしていくプロフェッショナルであるべきと考えます。
注目のコメント
ソフトバンクでiPhone事業推進室長として、iPhone3GS, 4, 4Sの時代、iPhoneのマーケティングとセールスを担当していました。ただし実質的な責任者は私の前任者としてiPhone3G, 3GSを担当し、当時の私の上司、今は常務執行役員の1人として活躍されている方でした。
当時の彼はまさに本記事で書かれているような人。まだ30代後半、買収した携帯キャリアではなく、通信会社の出身の若手の俊英。それをトップが完全バックアップしてました。私は外から来た外人部隊の一人として彼の下にあてがわれたに過ぎません。国内メーカーを中心としたガラケーから、iPhoneをはじめとしたスマホへの移行は、ある意味「両利きの経営」が求められました。
主要国内メーカーと二人三脚で商品開発をして独自の市場を作ってきた従来の携帯キャリア出身のシニアはiPhoneへの傾倒に冷ややかな人、怒り心頭な人、様々でしたが、あるメーカーの端末を不採用とトップが決定した際の経営会議で、そのメーカー担当責任者だった部長が涙を流し、トップに抗議した場面は忘れることができません。
彼は、かつてのソフトバンクの苦境をそのメーカーがいかに救ってくれたか、いかに新たな市場を共に作ってきたかを訴えました。彼は自らの保身ではなく、まさに自らの業務に忠実なゆえにそのように訴えていることが痛いほど分かりました。しかし、トップは聞く耳は持ちませんでした。
私がiPhoneを担当した時代、まだソフトバンクが専売でした。しかし、iPhone4で大きくマーケットが立ち上がり、ソフトバンクの端末販売の半数以上がiPhoneとなりMNPのほとんどがiPhoneとなり、ソフトバンク内に限ってはスマホが主流の時代へと移行しました。両利きの経営を続ける中ではそのような時をどこかで迎えるし、迎えなければなりません。
今頃、あの部長はどうしているのだろう?と思うことがあります。彼のように、「深化」側で、業務に忠実に市場を守ってきた人たちをどのように処遇し、活かしていくのか、そういうことも本来は両利きの経営を考える上で重要なことのようにも思います。「両利きをやれ!」という社長がその本質を理解しているかどうかが最大のポイントですね。「探索」をミッションとする組織は社内力学により冷や飯を食う可能性が高く、それを隔離して社長の庇護のもとにおくと、既存事業部は「僕らは深化だけやれということか!」とモチベーションが下がります。
多くの企業がその狭間で失敗し組織は上手く回らず、かつ社長が変われば宗旨替え、ということが繰り返されています。社長がやれやれと言うから二階に上がったら、はしごを外された、なんていう話は枚挙に遑がありません。
どういう事業は既存事業部で行い、どういう事業が出島で行うかが不明確なことが混乱の火種になるケースが多いと感じます。大雑把に言うと、事業の独立性が高く、カーブアウトして別会社にしても成り立つものが出島の前提になるのではないでしょうか。
社長の意思を幹部全員が腹落ちしていることが大前提になります。「ウチもDXで何かやれ」にお応えします──。
ある展示会で、そのようなコピーを掲げたブースがありました。
日本企業あるあるですが、社長が新聞で「DXが重要だ」という記事を読み、
「よう知らんが時代はDXらしい」と社内に通達したとかなんとか。
これまでにIoT、ジョブ型、こうしたキーワードが流行る度に、そうした現象が起きるそうです。
こうして奔走される現場の社員。それを逆手に取って、上記のようなコピーを掲げるセンスに脱帽しました。
さてさて、両利きの実践として、社内の現場に焦点を当てた今回。具体的な実践に迫るほど、「あれ、これって日本企業に向いているんじゃないか」と思っていただけるのではないでしょうか。