最低賃金 きょう大詰めの議論 大幅引き上げ続くか焦点
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最低賃金の引き上げコストは企業か労働者かどちらかが負担しなければなりません。労働移動が乏しく賃金に不満があっても転職できない等の理由で企業が生産性に見合う賃金を払っていない状況なら、最低賃金の引き上げは企業の負担になりますが、最低賃金付近の労働者の生産性が低く賃金がそれ相応の状態にあるなら、解雇の増加を通じて賃上げコストは労働者の負担に転嫁されてしまいます。終身雇用制の下で生産性の低い労働者の賃金が上がったら、生産性の高い層の賃金が抑制されるといったことも起きるでしょう。高スキルの労働者が日本企業を逃げ出す原因にもなりかねません。
諸国が新型コロナウイルスは感染しても気にしない、症状が出たら治療する、という方向に諸国が動くなか、未だに鎖国に近い水際対策が取られ、感染症分類を結核、SARS並に留めて医療を逼迫させ隔離による休業者を増やして中小サービス業を痛めつけている我が国で、企業にどれほど賃上げ吸収力があるものか・・・ 最低賃金の引き上げで苦しむ中小企業を救うため税金を投入するとなったら、それは政府の負担、ひいては国民の税金で民間企業の賃金を賄う異常な現象を招きます。
最低賃金の引き上げは財政負担を伴わず賃上げをアピールできるので多くの国の政府が好む政策ですが、賃金への政府の直接的な介入は弊害も伴います。労働人口が減って雇用が逼迫している我が国で、労働移動が安心して出来る環境が整えば、各人がスキルに見合う賃金を求めて職場を移動し自ずと賃金は上がるはず。賃金の底上げのため政府が何より先にしなければならないのは雇用規制の見直しと、企業を保護して解雇させない雇用保障の仕組みから企業を離れた労働者を直接保護する仕組みへの転換です。
最低賃金を払えない企業は潰れて良いと覚悟を決めての引き上げならそれも一つの選択ですが、間違っても税金で民間企業の賃金を賄うこととセットでやって国民の歓心を買うことだけはしないで欲しい。かりそめにもそんな政策を続けたら、日本で所得を生み出す企業の力が衰えて、国民がますます貧しくなってしまいます。