塩野義コロナ飲み薬、承認見送り 「改めて審議」、厚労省分科会
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塩野義製薬が開発中の新型コロナウイルス用抗ウイルス薬「ゾコーバ」の主要な成績は以下の通りです。
(1) ワクチン接種者を主とする軽症・中等症の感染者428例に対し、本治療薬を1日1回、5日間経口投与した結果、ウイルス力価、ウイルス力価陽性患者の割合は、プラセボ群と比較して約90%減少、ウイルス力価が陰性になるまでの時間の中央値はプラセボに対して1~2日短縮したなどの臨床検査値の変化は見られた。
(2) プラセボ群と比較して新型コロナウイルスの12症状合計スコアには統計学的に有意な差は認められなかった。
(3) オミクロン株感染に特徴的な呼吸器4症状(計画解析)および呼吸器症状に発熱を加えた5症状(事後解析)の複合スコアの改善は示された。
あらゆる恣意的な影響(バイアス)を排除するために、医薬品の臨床試験は「前向き試験」と呼ばれる「成果を予見し、合格ラインを設定したうえで検討する」方法がとられますが、それが主に(2)の部分でした。ここで効果が認められていません。
また、(1)のウイルス量の変化は、(2)で成果が得られた場合の前提として必要になるものですが、(1)だけでは臨床効果の証明にならないとされます。逆に(2)が満たされて(1)が満たされない場合も、(理論がないので)一般に認可されません。
こういう認識は、しっかりした臨床試験を実施する国に共通のため、欧米等先進国のいずれにおいても、この内容で承認を与えることはないはずです。今後、解析症例数を増やすことによって、まれにですが統計的に有意に優れるという結果に変わる場合がありますので、記事中でそこに期待しているという発言も見て取れますが、まさにその理解の通りです。
記事中の「同時に使えない薬が多い」点については、認められにくいということはあっても、今回認可に至らなかった決定的な部分ではないものと思います。「データから有効性は推定されないとの意見が多くを占めた」。科学的に効果が確認できない医薬品が承認されないのは当たり前のこと。コロナに関する治療薬やワクチン両方について、この会社はサイエンスに基づかないパフォーマンスでしかない情報発信が多すぎる