中国 4-6月期GDP +0.4% 2020年の武漢封鎖以来の低い水準
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注目のコメント
上海ロックダウンがあった以上、GDP成長率が大幅に落ち込むのは折り込み済みですが、問題は現状のトレンドです。
工業増加値、社会消費品小売総額を見ると、6月はかなり回復傾向にあることがうかがえます。とはいえ、BA.5など新たな変異種の流入もあり、コロナリスクはまだまだ不透明ですが。
また景気対策としてアクセルが踏み込まれたインフラ建設ですが、早くもかなりの規模で動いているのは大きいです。
一方で厳しい状況が続くのが不動産。今年上半期の販売額は前年比30%減です。あの手この手の販売促進策が打たれていますが、不動産市況がいつ底を打つのかは大きなポイントです。第1四半期から大きく後退。想定内だが厳しい。ゼロコロナとロックダウンの破壊力を実感させます。ゼロコロナ策の実質見直しは必須になるでしょう。
今後のポイントは2つ。
①下半期に向けてどれだけ景気がV字回復していくか?この意味で鍵を握るのは「ゼロコロナ」をどれだけ「ウィズコロナ」に近づけられるか。党内では「ゼロコロナ」に異を唱える声も増えてきているようです。ここ最近打ち出してきた景気刺激策が効いてくるのは第3四半期以降でしょう。
②経済の低迷が政治に与える影響。第2四半期の経済は悪かったですが、ロックダウンなどの影響を考えれば織り込み済み。小売など回復基調の数値もあ見られます。「マイナスにならなかっただけマシ」との声も党内にあります。習近平の権力基盤、党大会人事などを考えると、下半期の中国経済、予断を許さない状況が続きます。前期比マイナス2.6%というのは、事前予想を上回る落ち込みでした。それだけゼロコロナ政策による消費・生産の減少が大きかったと解釈できます。
ところで、最近中国は(手心を加えない)正確な統計を出している印象です。
これは、景気実態を正しく把握して対策を講じることができるというプラス面がある一方、今年の成長目標5.5%が一段と困難になるという(中国共産党にとっての)マイナス面もあります。