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バイデン大統領の中東歴訪では、2つの大きな目標があると思われます。一つはサウジやUAEといった増産余力があると考えられる国に対して、原油の増産を要請すること。これによってロシアからの供給を止めたとしても原油価格の上昇を抑え、とりわけロシアからのエネルギー依存の高い欧州諸国への供給を維持しようということ。
 もう一つはイランの脅威に対抗するために、サウジアラビアやUAE、エジプト、ヨルダンなどのアラブ勢とイスラエルの安全保障面での協力体制を強化し、とりわけ共同のミサイル防衛システムを構築すること。
 サリバン補佐官がこの記者会見で、「イランがロシアに武装ドローンを提供する準備を進めている」という情報を出してきたのは非常に興味深い。
 サウジやUAEやエジプトはロシアとの関係も良好であるため、ウクライナ戦争では中立的な立場を維持しており、それゆえロシアに対する制裁の効果を高めることを助ける原油の増産要請には応じたくない。アラブ勢はイランの脅威については米国と認識を共有しているものの、ロシアに対する脅威という点では認識が異なる。そこで米国は、イランがロシアを軍事的に支援しているという情報をこのタイミングで出すことで、サウジやUAEを対ロシアの文脈でも米国陣営に引き寄せようとしているのかもしれない。
 いずれにしても、バイデン大統領の中東訪問は今後の国際情勢にとって非常に重要な意味を持つものになるかもしれず、要注目です。