半導体需要に「急ブレーキ」、供給不足の現状と今後
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この記事には裏話があります。半導体専門メディアであるセミコンポータルに7月5日に「半導体市場急落の兆し、要注意へ」(www.semiconportal.com)という記事を書きました。翌7月6日に半導体商社のコアスタッフの記者懇談会でアナリストの南川明さんが最近情勢を述べられ、メタバースなど近未来的なことをおっしゃっていました。そこで、私が、半導体市場急落のニュース(Apple、AMD、NvidiaがTSMCへの注文を大幅に減らしたというニュースです)を聞いたのですが、これをどう見ておられますか、と質問しました。
南川さんは、「そのニュスは私も知っていますが、短期的な落ち込みにすぎない」と答えられていました。それは私も同意しますが、半導体サプライチェーンにおいて、ロシア・ウクライナ戦争の影響、中国のロックダウンの影響がじわじわ効いてきたような気がします。というのは、世界半導体市場統計(WSTS)のデータでは、2月をピークに対前年同月比と差の数字が3月、4月と急落しているからです。5月はSIA発表の移動平均値から算出すると4月並みなので、少なくとも急落は少し収まったようですが、景気後退の影響がじわじわ出ているような気がします。おそらく6月も下がりそうです(数字はまだ発表されていませんが)。
注目のコメント
先端ロジックは、需要のドライバがPC/デジタル家電/スマートフォンからデータセンタ向けに移行、パワーデバイスは脱炭素に向けて活況な状況が続きそう。
今後は過去のシリコンサイクルとは異なり、デバイス毎に需要変動の波が違ってくるのかもしれないですね。もう電子部品サイクルは逆回転を始めていると思うが、どれだけの逆回転になるかがポイント。
ここ数年、業界全体でめちゃくちゃ設備投資をしてきた。また需要は、コロナ禍のなかでのリモート需要や、EV化も含めた車載需要が強かった。
インフレで需要が崩れ、在庫調整が始まり、一方でキャパシティは大量にある。NvidiaなどがTSMCに既発注部分を減らそうとしたが出来なかったみたいな噂も出ている。作ってしまうと売らざるを得ないが、値下がりしながら需要を先食うみたいな状況にもなりうる。
本格的な電子部品・シリコンサイクルの下押し局面は、最後は金融危機の時。それ以降は、景気刺激策で、マクロ経済自体も小さい修正で終わり、スマホの毎年サイクルなどに支えられて(以前のWindowsサイクルとかより小刻み)、大きな調整はなかった。
どれくらいの調整の深さになるかが一番の注目点。