2022/7/5

【注目】TikTokの健康デマを暴く「世直しクリエイター」が熱い

INDEX
  • 偽情報への「反論動画」が大反響
  • TikTokと似非科学の親和性
  • 半年ごとに再流行するデマ
  • ユーザーが熱狂する「論破のドラマ」
  • 金(カネ)にならない重労働
  • 嫌がらせと感謝のトレードオフ

偽情報への「反論動画」が大反響

「きみたちの知り合いにも、毎日ステロイドを使っている女の子が絶対に1人はいるはずだ。賭けてもいいよ」
TikTok動画で若い男性が話し始める。彼はカメラを見つめて、明らかにうそくさい主張を続けた。
「なぜなら、近頃の女の子の3人に1人は避妊用ピルを飲んでいるからだ。信じられないかもしれないけど、避妊用ピルはボディービル用のステロイド〈ナンドロロン〉と成分は同じなんだ」
ここで、スクリーンに別の顔が割って入る。白衣を着たこの男性は、オーストラリア在住の現役薬剤師で、医学生でもあるムスタファ・ダヒールだ。
「うそを暴くときに最も厄介なことの一つは、うそを広める人々がそのうその中に少しだけ真実を紛れ込ませていることです」
ダヒールはそう語りかけ、ステロイドが何であるかを説明した後、経口避妊薬の使用を糾弾する元の動画の不正確な点をひとつずつ指摘していった。
「この男性は、視聴者を脅すことで注意を引こうとしているだけです」とダヒールは警告する。続けて彼は、避妊の方法にはたくさんの選択肢があり、それぞれ副作用も異なることを説明した。
最近、TikTokで拡散される偽情報を「論破」する活動を行う科学者や医師、学者らが増えている。ダヒールもその1人だ。
彼らが用いるのは、元の動画を切り取って引用し、それに対して反証を述べる「スティッチング」という手法だ。
TikTokをはじめとするSNSプラットフォームは、ワクチンをめぐる偽情報にフラグを立てるシステムを開発している。しかし、それ以外の怪しげな健康情報については、ダヒールのように専門知識を持つ個々のユーザーが反証する場合を除いて、放置されていることが多い。
「誤った情報は、医療を受ける判断に影響を与え、人々の健康を左右しかねません」とダヒールは言う。彼はパンデミックの初期からTikTok上のデマへの対応を開始した。ダヒールが作成した反論動画への「いいね!」は累計950万件に達している
ダヒールがこれまでに論破してきたデマには、「避妊薬は女性を不妊にする」「“自然”由来の医薬品しか信頼してはいけない」「鎮痛薬のタイレノールは自閉症と関係がある」などが含まれる。
(Volha Barysevich/iStock/Getty Images)

TikTokと似非科学の親和性