米、ブタ臓器移植で臨床試験検討 FDA、米紙報道
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記事に書かれてる通り、ブタの臓器はヒトの臓器と大きさや機能が似ていることからかねてヒトへの臓器移植のアイディアがあるものの、ヒト間の移植ですら問題になる免疫反応が強く出るため、そのままでは移植できず、強い免疫抑制のための工夫が必要とされます。
2022年1月7日、米メリーランド大では、免疫拒絶が起きないよう遺伝子操作したブタの心臓を57歳の男性患者さんに対し移植する試みが行われました。しかし残念ながら3月8日に死亡しています。ただし2か月間生存することはでき、異種間臓器移植の発展に非常に大きな足跡を残しました。
この患者さんは移植前に人工心肺装置(ECMO)が装着されているほどの重症例で、移植しか助からない見込みながら短期間にドナーも見つけられないことから、この時点でブタ心臓移植しか助かる見込みがないとされた中で実施されました。
今回は、メリーランド大での臨床成績を踏まえた上で規模を拡大し、「どの方法で移植した場合最も延命が期待できるか」を複数検討するための臨床試験だと思います。患者さんに不利益が及ばないよう、今回も、他に適切な治療法がない患者さんが対象となるはずです。
現状、十分な技術が蓄積されている治療法とは言えませんが、移植試験の症例数が増えなければデータも集まらないため医療は発展しません。このことは医薬品の臨床試験でも言えます。アイディアや動物実験のレベルが高いだけでは高度先端医療や医薬品の実用化には至りません。リスクの高い治療法に積極的に関与する政策を出し、かつ積極的に参加したいと考える国民が多数いる国で先端医療や先端的な医薬品は実用化されています。