シンガポール、いかに製造業を復活させたか
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高付加価値の知識集約型産業への移行、金融業の市場規模拡大とグローバル化、いずれも日本経済の次の段階への課題としてさんざんいわれてきて、十分に達成されてないことです。
いずれも達成されたのがシンガポールで、シンガポールではさらに、観光業の市場規模拡大や製造業の生産性向上まで達成しています。
日本と同様に未解決なのは、少子高齢化くらいですが、今のシンガポールでは、人口が減ってもGDPを増やしていくことは可能です。
250万人の自国民と300万人の外国人労働者で構成されるシンガポールという国ですが、生産性向上のためには、製造業で技術革新を世界最先端まで進め、外国人労働者の受け入れ人数を減らせばいい、ということになります。
技術革新は、シンガポール国立大学と南洋工科大学という、ランキングでアジア1位、2位の研究機関もあるので、可能です。また、シンガポールは、これまで20年以上かけて、世界の名だたるグローバル企業のR&D機能を誘致してきました。
日本企業だと、NEC、資生堂、鹿島建設、日東電工などがシンガポールに研究開発機能を集約しています。
シンガポールが、優秀な学生や外国人によるスタートアップを手厚く支援していることも、製造業における技術革新の持続を可能にしています。
日本では、知識集約型産業への移行、ということがいわれてきましたが、具体的なイメージが欠けていました。まさか1億人以上が全員研究開発や設計をやるようになるわけではないので、知識集約型の製造業、知識集約型の金融業、知識集約型の農業、漁業、林業、知識集約型の行政などについて、具体的な構想が立てられるべきでした。
それに必要な具体的な措置、国民1人1人が何を学び続けねばならないのか、理解して、経済のあり方が移行していくべきでした。実際は、過去30年間そういうことは起きずに、中国などが実装した技術革新を後追いしているのが日本の現状です。
人口構成など、シンガポールを日本が模倣するのは非常に酷である点もあるのですが、日本にできることが後追いしかないのであれば、しかるべきモデルを見さだめて徹底的に後追いするのが最善でしょう。シンガポールの製造業は、人口が減っても、労働生産性をあげられる好例です。少子化が進む日本の経済成長におけるベンチマークになるのではないでしょうか。
ロボットやデジタル技術をうまく活用すれば、もっと生産性がアップする仕事がたくさんあります。それがよくわかるレポートでした。記事にもあるが、製造業でも色々な種類がある。シンガポールは資本集約型・高付加価値を追求して、そのために自動化も組み合わせた半導体などがフィット。日本やアメリカの場合は、こういう資本集約・高付加価値型ももっと強化していくべきだが、併せて組立・加工型の雇用含めたすそ野が広い製造業は重要。
ちょうど今、津上俊哉氏の「米中対立の先に待つもの」という本を読んでいる。
どの国も発展の過程で一次→二次→三次産業と、成長ドライバーとなる産業やその構成比が変化する。中国もそうなのだが、あまりに三次産業が急速に発展して二次産業の構成比が急激に下がっていることへの警笛を党本部が持っているといった観点(それは半導体問題などにもつながる)は興味深かった。
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