2022/6/24
コンサル・事業開発・インキュベーション全部やる。エッグフォワードが追求する「変革の起点づくり」
エッグフォワード | NewsPicks Brand Design
BtoBの企業変革コンサルティング会社として創業し、加えて現在ではBtoCのプラットフォーム事業、スタートアップ支援のインキュベーション事業も立ち上げたエッグフォワード。10年目を迎えた現在、従業員は100人弱、事業数は10を超えている。
コンサルティングを母体とする彼らが、なぜ事業を多角化し、組織を拡大するのだろうか? その本質には「変革の起点をつくる」という一貫したミッションの追求がある。
その実現のために事業を手段として捉え、多様な人材を交錯させることで、“いまだない価値”の創出を狙う──いわば徹底的な「パーパス経営」を実現しているとも言える。
上場を見据えてさらなる組織化を進める代表の徳谷智史氏と、新たな事業トップ2名を加えた鼎談を通じて、新生エッグフォワードの全貌を探る。
コンサルティングを母体とする彼らが、なぜ事業を多角化し、組織を拡大するのだろうか? その本質には「変革の起点をつくる」という一貫したミッションの追求がある。
その実現のために事業を手段として捉え、多様な人材を交錯させることで、“いまだない価値”の創出を狙う──いわば徹底的な「パーパス経営」を実現しているとも言える。
上場を見据えてさらなる組織化を進める代表の徳谷智史氏と、新たな事業トップ2名を加えた鼎談を通じて、新生エッグフォワードの全貌を探る。
INDEX
- 「人の可能性への投資」に共感
- 人を信じるから多様性が「自然にある」
- “異質”が掛け算で重なり合う組織
- 個人を起点に、いまだない価値を
- 個人、企業、社会に変化の起点を創る
- 上場は、社会的インパクトを最大化する手段
- 今後は「起点の総量」をいかに増やすか
「人の可能性への投資」に共感
──まずはエッグフォワードの各事業領域で新たに責任者を務めるお二人のキャリアを教えてください。山本さんは元ベンチャー経営者だそうですね。
山本 私はもともとエンジニアで、数社を経て2012年に「レレレ」という会社を立ち上げました。『コーヒーミーティング』や『タイムチケット』といったtoC向けのサービスを自分で開発していたのですが、思うところあって2016年に全事業を売却したんです。
そのときにハッキリわかったのは、自分はクリエイター志向が強く、「ゼロイチをやり続けたい」んだということ。会社の経営より、新しいものを創り続けることに一番の興味があったんです。
そのために新しい環境を探しているなかで徳谷さんと出会い、「人財のWillを尊重し、可能性を信じ抜く」というエッグフォワードのカルチャーが響いたことがきっかけで、2020年にジョインしました。
──コンサル事業のトップを務める田村さんは、元アクセンチュアの戦略部門でパートナーまで務めていました。なぜエッグフォワードに?
田村 そうですね。20代からアクセンチュアで10年以上、戦略コンサルティング部門にいました。途中で外資系の事業会社に転じたのですが、その会社が日本から撤退することになり、再びアクセンチュアに戻って経営に関わっていました。
日々の業務は濃密で充実していたのですが、一方で「営利企業の利益の最大化」というコンサルの使命に対して、「これでいいのだろうか?」という疑問も感じはじめていました。
ひとつのきっかけは、東日本大震災です。支援していた大企業のプロジェクトがすべて止まるなか、社会インフラを担って復旧に尽力する企業の迫力や使命感を目の当たりにしたことは、私の価値観に大きく影響しました。
決定打になったのは、2020年から始まったコロナ禍です。「これは社会のあり方が変わる変曲点になる」と直感するなかで、「人の可能性」や「人の機会」を最大化することに興味を持つようになったんです。
いくつかの会社を見ているうちに徳谷さんと出会い、「ここで新しいことに挑戦しよう」と。それが2021年です。
人を信じるから多様性が「自然にある」
──エッグフォワードに入って、一番驚いたことを教えてください。
山本 本当に自分のやりたいことができる会社だということです。入社して最初に徳谷さんから「やりたいこと」を聞かれて、作りたいプロダクトの企画書を送ったら、二つ返事で「やりましょう」と。
本当に個人の可能性を信じる会社なんだなと実感しましたね。
最初はお試し転職のマッチングサービスを作っていたんですが、リリース前に緊急事態宣言が始まったので、即ピボットして「いつか⼀緒に仕事ができそうな⼈とオンラインで15分だけ話してみよう」というコンセプトの『バーチャルランチクラブ』をリリースしました。
また直近では、誰でも簡単にアプリを作れる超高速ノーコードモバイルアプリ作成サービス『AppVanilla(アップバニラ)』もリリースしたので、これも伸ばしていきたいです。
どのサービスも「人の可能性を最大化する」というミッションに向かっている点で共通していて、エッグフォワードらしいプロダクトだと思っています。
田村 僕がジョインして驚いたのは、本当に多様性がある組織だったことですね。
世の中でダイバーシティが進んでいる会社として認識されている企業の多くは、意識してダイバーシティの環境を「作っている」と思います。
でも、エッグフォワードは多様性が「自然にある」組織なんです。
メンバーの男女比率はもちろん、バックグラウンドが実に多彩です。コンサルファーム出身者はもちろん、起業家、キャピタリスト、エンジニア、元教師、政治家志望者など…ひとつのミッションの下に、あらゆる領域から志高い人材が集まっていることに本当に驚きました。
“異質”が掛け算で重なり合う組織
──多様性のある組織になった背景には何があったのでしょうか。
徳谷 もともとエッグフォワードは「4C」というバリューを掲げていたんですが、組織が大きくなっていくなかで、ひとつCを追加して「5C」に変えたという経緯があります。
最初の事業である企業向けのコンサルティングや人材育成は、ある程度共通のスキルセットが求められます。その結果、集まる人材が徐々に同質化していったんです。
特にコンサルタントは、ジュニアからシニア、マネージャーと一軸の構造なので、そこからはみ出た人の可能性を活かしきれないという課題がありました。
それは、私たちの「いまだない価値を創り出し、人が本来持つ可能性を実現し合う世界を創る」というミッションや、「人と世界のいまだないターニングポイントを創る」というビジョンに逆行してしまうのではないかと。
そこで、異質との掛け合わせを意味する「Chemistry」をバリューに追加したんです。
一貫したミッションを掲げているけれど、実現するための道筋はひとつではないですよね。
ミッションに向かうために、いろんな人財の強みや可能性がそれぞれに活きればいいと思っていて、その価値が掛け算で重なり合う組織でいたいし、会社の仕組みもそれを実現するために設計していたい。
この「5C」のバリューが土台になることで、志向やキャリアも含めて多様性のある人材が集う組織に変化していきました。
──人の強みや個性、可能性を信じる会社だからこそ、多様な人が集まる。
徳谷 そうですね。ミッションやビジョンを実現するための手段として事業があり、そのためのアプローチは個々のWillや強みが重なるところから始めればいいと思っています。あまり画一的な管理もしたくないんです。
田村 周囲からは、「エッグフォワードは何の会社なのかよくわからない」と言われることもありますが、「自分たちの存在意義は何か」が明確にあった上で、その延長線上に新しい事業がどんどん生まれている。
私は、これこそが「パーパス経営」の実践だと思っています。
個人を起点に、いまだない価値を
──なぜエッグフォワードが多様な事業を生み出せるのか、また事業を多角化するメリット・デメリットをどう感じているか教えてください。
山本 エッグフォワードが個人のWillを尊重した結果、多様な事業の創出につながっていると思っています。「個人に起点を創る」をメンバーが体現した結果なんだ、と。
だから、組織が事業部で分かれている感覚はないですし、シナジーを出すことが当たり前のカルチャーがあるので、「私の領域はここまでです」と言う人もいません。
徳谷 個人のWillを重視しているから、基本的に「これはやるな」というNGがほぼないんですよね。
個人の意志が生かされない組織をたくさん見てきたので、創業のときに、本気でやりたいことは常にYesで応えられる組織にしたいと決めたんです。
その結果、「いまだない価値を創り続ける」ために、常にいろんなものが生まれている状況はとても面白いですし、価値と価値が重なって、非連続な価値連鎖、偶発的な価値連鎖が起きています。
田村 誤解を恐れず言うと、僕個人としては、別にコンサルがしたくて来たわけではないです。
だからtoC向けのプラットフォーム事業にも、エンジニアとして貢献することはできないけれども、アイデアを出したり、事業性を評価したり、そういうことにも積極的に関わっています。
ミッションを具現化するためにいろいろな事業があり、そこに関わっていける。単純に自分としてやりたいことが広がっているという意味で、面白いですね。
組織としての意義で言うと、我々はコンサルティングやトレーニングを通じて、顧客企業の経営者や人事領域の責任者の方々と向き合っています。そして人事、組織、あるいは経営上の課題についてさまざまなお話を伺うわけです。
これをコンサルティングという形で返すだけではなく、より汎用化・普遍化してプロダクトとして埋め込むことができたら、もっといろんなクライアントに貢献できる。
そういう意味でも、コンサルという枠組みを越えていけることは大きなメリットだと思ってます。
徳谷 もうひとつ、エッグフォワードで働く人の「キャリアの複線化」という意義も大きいですね。
たとえば20代の若手の例ですが、BtoBのコンサルタントとして入社してきた人材が、BtoCの事業開発に移り、プロダクト開発に興味を持って学んでいくなかで、結果的にエンジニアに転じたケースもあります。
人材の可能性がひとつの職種、ひとつの事業に縛られる必要はないと思っていて、隣のチームがやっていることに興味があれば関わればいいし、本気になったら職種も変えればいい。コンサルだけとか、事業だけとか閉じる必要はないと思うんです。
──個人の意思でセクションを越えていけるんですね。
徳谷 そうですね。会社のステージが上がれば、その管理会計をどうするのかといった話は出てくると思いますが、それらをなるべく取り払う経営の仕方もあると思うんです。
少なくとも今は、自分の事業のKPIを達成することよりも、会社が正しい方向に進んでいるのか、みんながありたい姿のために時間を使えているかが重要だと考えています。
個人、企業、社会に変化の起点を創る
──インキュベーション施設『Golden Egg Lab』も渋谷に誕生しました。スタートアップ支援への進出にはどんな狙いが?
徳谷 私自身の創業経験に加え、これまでもスタートアップ支援を実施するなかで、一時的なコンサルだけ、あるいは出資だけのアプローチでは限界があると強く感じていました。
そこで、2021年から出資×コンサルティングでスタートアップを支援する『Golden Egg』をスタートし、2022年にインキュベーションスペース『Golden Egg Lab』の提供を始めたんです。
Golden Egg Labでは、海外投資家とスタートアップが集まるイベントやセミナー、スタートアップ同士の協業など、いろんな起点が連鎖的に生まれています。
渋谷に誕生したインキュベーション拠点「Golden Egg Lab」
またGolden Eggでは、社会の起点になりそうな会社であることを第一条件に、現時点で20社近いスタートアップに出資しています。
重視しているのは、その会社が志しているビジョンやパーパスが世の中にとって面白い起点・ターニングポイントになりそうか、そこに我々が強く共感するかどうか。
コンサルティングだけでは関与しづらかったスタートアップに出資することで、長期的な企業価値向上を支援し、社会課題解決に貢献するエクセレントカンパニーを創出したい。
もっと言えば、志高いスタートアップが連鎖的に生まれていく社会に向けたエコシステム創りを実現し、これからの新しいスタートアップ支援のデファクトにしていきたいと本気で考えています。
田村 早速、そこに共感して、大手VCから転じてきたメンバーも居ますね。
また、出資の条件には「機会の最適化」というキーワードもあります。スタートアップ向けのクラウドファンディングや、未上場株式の取引マーケットなど、いろんな機会を最適化しようとしているスタートアップに出資することで、可能性の最大化につなげたいです。
上場は、社会的インパクトを最大化する手段
──今後、上場を予定していると伺いましたが、どんな意図があるのでしょうか。
徳谷 シンプルに、社会的インパクトを大きくする手段として有効だからです。
本当にいまだない価値を創り続け、人の可能性を最大化するためには、健全なプレッシャーのあるパブリックな環境にいた方が、より高みを目指せるはず。
エッグフォワードから生まれるサービスが世の中を動かし、社会にとっての起点だと認識される、存在感のある会社を目指したいです。
──具体的に、どのようなインパクトを出すのでしょうか?
徳谷 ミッションにある「人の可能性を実現し合う世界を創る」の“し合う”とは、1人が変われば周りの人も変わる、1つの組織が変われば周りの組織も変わるといった具合に、連鎖・波及する構造を創ることを意味しています。
我々を基点に、我々自身や提供するサービスを見た人・触れた人が変わって、それが連鎖していく構造を作ることで、大きな社会的インパクトを作りたい。それはtoBもtoCも同じ思想です。
──上場することが会社のカルチャーに影響する可能性はないでしょうか?
山本 上場しても管理でガチガチの会社になるつもりは全くないです。それより、創り出せる価値や関係する総量が増えると、その連鎖で社会的インパクトは大きくなるはず。上場はそのきっかけに過ぎません。
一般的に、スタートアップの上場はある意味ゴールだと思いますが、僕らにとって上場は事業を作ることや組織を拡大することの延長で、何か大きなマイルストーンとして置いているわけではありません。
徳谷 それに、現在の資本主義社会で、非経済的な事業も含めて価値を拡大している我々が上場企業として存在すること自体、社会にとっては面白い起点になるのではないかと思うんです。
利益を最大化できるプロダクトを作って売るのではなく、エッグフォワードが創り出した“きっかけ”が連鎖して、気がつけば世の中が大きく変わっている状態を作りたいですね。
今後は「起点の総量」をいかに増やすか
──これから、エッグフォワードをどう成長させたいでしょうか?
田村 人が変わるきっかけや、人が気づかなかった選択肢に気づかせる、人と人、人と組織をうまく引き合わせてあげる、そういった機会をどれだけの人に提供できるか。
その総量を増やすことがミッションであり、総量を増やすための一つの手段が上場です。上場によって起点が増え、結果として多くの人を変えられたら、世の中から良い「通信簿」をもらえるはず。そんな成長に期待しています。
山本 一般的に新規事業は、社会課題やマーケット、トレンドをベースに作られますが、エッグフォワードでは担当者の「Willベース」で作られます。この「Willベースで作る事業開発」が世の中に広まるきっかけを作れるのも、エッグフォワードの価値。
そういう事業開発が広まるといいなと思っています。
徳谷 ただ、きっかけや起点を増やすには、まだ「仲間」が足りていません。スキルセットよりもマインドセットを重視しているので、エッグフォワードのミッションに共感する人や、自分のWillや想いがある人はぜひ来てほしい。
既存の環境で自分の価値を十分には活かしきれていないと思う人、自分はもっと非連続な成長ができると思っている人はスーパーウェルカムです。
みんなが当時者として、ボトムアップでWillを重ねて形にし、世の中に広げていく。そんなカルチャーが根付いた環境で、大きなインパクトを社会に生み出していきたいと思っています。
構成:田村朋美
撮影:小池彩子
デザイン:Seisakujo inc.
取材・編集:呉琢磨、高橋智香
撮影:小池彩子
デザイン:Seisakujo inc.
取材・編集:呉琢磨、高橋智香
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