2022/6/13

【解説】「マクドナルド再開」に見る、ロシア経済のしぶとさ

INDEX
  • 「M」なしの再オープン
  • 回避された金融パニック
  • 制裁に「順応」する国民たち
  • ぎりぎりの「低空飛行」でしのぐ
  • 新マックは「自給自足」で対応

「M」なしの再オープン

この日曜日、エフゲニー・シュミルキンは久しぶりに職場に戻る。
復帰に先立ち、彼はマクドナルドの制服のシャツからおなじみの「M」の刺しゅうを取り去り、上着の「M」はロシア国旗のワッペンで隠した。
モスクワの店舗で、調理機器のメンテナンスを担当するシュミルキンは言う。「これまでと同じバンズを使うよ。ただ、メニューの名前が変わるだけだ」
6月12日、(旧)マクドナルドがロシアで再オープンを果たした。もはや、店舗におなじみの黄色い「M」はない。新ブランド名は「フクースナ・イ・トーチカ(おいしい、以上)」だ。
プーチン大統領のウクライナ侵攻に抗議して、この春マクドナルドがロシアから撤退したのち、同国内の840店舗を買い取ったのはシベリアの石油王だ。
食材はほとんど国内で賄えるため、各店舗はこれまでとほぼ変わらないメニューを提供し続けることができると新オーナーは語る。
6月12日、旧マクドナルドの新ファストフード店「フクースナ・イ・トーチカ」に列をなす人々(写真:ロイター/アフロ)