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【解説】「マクドナルド再開」に見る、ロシア経済のしぶとさ

NewsPicks編集部
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注目のコメント

  • 塩崎 悠輝
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    静岡県立大学国際関係学部 准教授

    日本ですら1941年に原油の輸入が止まってから、4年間は総力戦を継続したのですから、ロシアが3か月やそこらで音を上げるわけがありません。日本は、朝鮮半島からのコメまで入らなくなると、さすがに無理でしたが。
     ロシアは、原油にもガスにも小麦にも不足していません。
     貿易は、周辺諸国を通して可能で、ヨーロッパ諸国ですら、原油だけは90%取引を減らすといっていますが、2023年からの予定です。ガスに至っては、いつから輸入を減らすのかすら西ヨーロッパ諸国は言いたがりません。
     アルミニウムのような戦略物資も、中国から輸入することはできます。
     先進国との貿易はできなくなっていた1942年の日本とは全然違います。

    今の経済制裁でも、ロシアのGDPを1年後には10%減らしているくらいの効果はあるでしょう。欧米や日本から出資を得て、設備の更新をしたりすることはできないので、明らかなマイナス効果はあります。
     しかし、日本が戦時中に体験したような、壊滅的な打撃ではありません。
     結局、ロシアは大国なので、1940年代の日本よりも制裁に強いといえます。
     北朝鮮に経済制裁を行うことで困っている国がほとんどないように、経済規模が小さい国相手なら、いくらでも経済制裁をかけることができます。
     大国相手には、互いに血を流すようなやり方でないと効きません。ヨーロッパ諸国は石油もガスも買うのをやめる、中国やインドにもGDPがマイナスになるくらいの制裁案を見せてロシアとの取引をやめさせる、ロシアの流通網を含むインフラを使用不能にする、くらいすれば、ロシア国民も不満を持ちます。
     そこまでできないから、ウクライナはゆるやかに時間をかけて占領されていきます。

    中国、ロシアから輸入額8割増 原油高の影響も 5月の貿易統計
    https://www.asahi.com/articles/ASQ69658SQ69ULFA01N.html?iref=comtop_Business_02
    ロシア経済成長率、今年はマイナス15%へ 欧米の制裁で=IIF
    https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-russia-iif-idJPKBN2NP28U


  • 加藤 嘉一
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    楽天証券経済研究所 客員研究員

    中国は制裁がロシア経済をどう苦しめ、国家がどう弱体化していくかを注視しています。仮に自国がウクライナ戦争で二次的制裁を受ける、或いは将来的に台湾問題で制裁を受けた場合、中国経済はどうなるのか、あらゆるシナリオを組みつつ、準備をしていると思います。例えば、利上げや資本規制といった金融手段を駆使して為替を安定させるなど。

    「ロシア国民は、自分たちに国家を動かす力がないことを理解しています。したがって、ただ制裁に耐え、適応していくでしょう」

    中国人民も同様と思います。ただ私の実感として、「経済のために主権を譲ることはしない」という一点において、大多数の中国人民は理解、納得はするものの(ナショナリズム、愛国心など)、経済や対外関係が人生を左右する(所得、職場、日常生活、エンターテイメント、子供の教育・留学など)という側面とどう折り合いをつけるか。過去40年、徐々に、しかし着実に享受してきた物質的豊かさを、国家の核心的利益のために投げ出す覚悟があるのか。

    経済と主権という相関性において、中国人民・社会はロシア国民・社会よりも脆い気がしないでもありません。


  • 佐藤 元則
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    NCB Lab. 代表

    経済制裁が即効で効き、国家運営がたちいかなくことはありません。現に、経済制裁国の北朝鮮やイラン、キューバなどは破綻していない。しかし、国力は確実に弱体化します。

    これらの経済制裁国とロシアがちがうのは、大規模な戦争を仕掛けていること。これが国力弱体化を加速させることは必至。資金と人が失われ、確実に国民の不満が拡大するでしょう。

    年末頃には、悲観論が大きくなっているはず。経済制裁の手をゆるめることがあってはならない、と強く思います。


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