株主提案、過去最多70社超 物言うファンドからも倍増
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今年の日米の株主提案を見てみると、物言う株主の代表格アクティビストだけでなく、私たちの年金等を運用する機関投資家からの株主提案や、環境団体からの提案まで、多種多様です。
中身を見てみると、こんな定款変更は認められないでしょというものから、ガバナンス的にも真っ当な提案も結構あります。
しかし、株主提案が50%以上の賛成率を獲得するパターンは本当に稀です。2010年から2017年までの全上場企業の株主総会における「会社提案」の平均賛成率は95%なのに対して、「株主提案」は1%未満から30%ほどです。
それだけに、これまでの学術研究の結果を見てみると、株主提案が通ると株価と企業経営へのインパクトも大きいことが知られています。ガバナンス提案等が通過して、従業員の方々が働きやすくなり、企業価値UPというストーリーを想起させることもあるようです。崔さんのコメント(有難うございます!)に関連して。
株主提案は、大きく分けるとこんな感じに分けられると思う。
①ISSなど助言会社の相場観含め「反対したら、説明責任が難しいもの」
②気候関連のような内容を定款に入れるという、総論・方向性賛成だが「定款に入れるほどのものなのか」というもの
③とんでも系。直近ではMUFGに対して「みずほのようなシステム障害がおきないよう対策を講じる」という文章を定款にいれるという提案。
賛成率は、これらの類型と、機関投資家比率によって変わる。
①については、例えば今回エスケー化研や文化シヤッターへの株主提案は、自分が議決権行使を担当する場合であれば、賛成するものが多いと思う。
たとえばエスケー化研については、会社側の反対は会社法を基にしたものが多く、合理性はある。ただ取締役会などに任せておいたら現金だらけ、様々なステークホルダーのなかで株主軽視の状況になっているという財務諸表などの状況に見える。だから、株主観点ではそれを定款にいれたりするほうが妥当だろうと判断できる。
そして、これはたとえ可決されなくても、こういう提案が一度されると会社側が何らか変更したり、またそのイベントリターンを狙ったほかの株主が入ってくることも多い(エスケー化研は創業家持分が多いから、そこがなかなか難しそうではあるが…)。
https://www.sk-kaken.co.jp/wp/wp-content/uploads/20220603.pdf
②は、会社側が方針を示していて定款にまでいれるほどではない、という判断は結構しうる。③は反対することがほとんど。
①については、既に機関投資家が多いところは、株主総会で論点にならないように何らかの対応を進めていることが多い。例えば社外取締役を増やすなどもそう。もしくは、創業家などで株を握っているので、賛成率が伸びない。
あと、いきなり提案をするのではなく、事前に増配をすべきではないかという働きかけをするのが一般的。
それらの合成として、現状の賛成率になるが、賛成率が低くても賛成がいるという事実や対応しないと増えていくという包囲網がスチュワードシップコードなど含めできているので、株主提案の影響はある。