成功する企業へ導くリーダーの役割 「両利きの経営」のタッシュマン名誉教授に聞く
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「両利きの経営」の著者でもあるタッシュマン名誉教授と「イノベーションのジレンマ」の著者である故・クリステンセン教授のメソッド。この2つの組み合わせを自分たちなりに理解して、試行錯誤する(探索する)ところから、日本企業の未来、イノベーションが始まるのだろうなということを身をもって実感しています。
これだ!という正攻法はないからこその、探索と深化。私たちにとっての「全体を網羅するアイデンティティー」とは何か?を深く意識させられました。成功する企業へ導くリーダーとして、「両利きの経営」が出来るリーダーが存在する必要がある、と述べられています。
そして、その両利きという相反する方向性を戦略的に行うためには、企業のアイデンティティが必要とも書かれています。
おっしゃる通りですが、このアイデンティティの認識は企業の中で、様々なレイヤーで認識が異なってきており、それを勘違いする形で日本の経営は行われていると思います。
例えば、組織を何とかしなければ、という事で、他の部署から新しいリーダーがやってきて、今までしてきた事を徹底的に否定して、散々混乱を招いた挙句去っていく、というパターン。
小さな形にならないアイディアをたくさん募集しておきながら、それらを叩き潰して、自身の安全を確保して、定年していくパターン。
色々とありますが、両利きと言われた時の、”知の探索”に関しての評価を、”知の進化”と同じ基準、レベルで行うという事がまず一つ大きなボタンの掛け違いだと思います。これがさらないと、知の探索を進める部隊は、やがて補給エネルギーの途絶えた最前線のように力なく消えていきます。
上記に準ずる話ですが、”知の探索”の基準を今までのPL,BSで読み解こうとすると、先行する部隊を後ろから砲撃するような悲惨な状態が発生します。
個人的には、そもそも経営に重要な決断で目新しい事を行う前に、例えば就業時間の10%は自己研鑽として、全く違う事について学んでいこう。その余剰時間は、必要時間なんだ、という考え方、文化を企業の中に呼び込んでいく事が大切だと思います。
また、アイデンティティのレイヤーについても、製品への愛着ではなく、より高いその製品を使う人への愛着、という形に常に大きな視点で自分たちのアイデンティティを見つめる事の訓練が必要です。そのためには、直近の利益目標をかざしていては、どうしても達成できなくなってしまいます。
自分たちの会社の存在価値を高い視点でとらえる事は、厳しい経営状況の中では難しい事かもしれませんが、そんな時こそ未来を描き、その信念を伝えていく事が企業トップの姿ではないか、と最近思います。