[東京 25日 ロイター] - 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は25日、9月末時点での国内債券の保有割合が50%を下回っていたと発表した。国内債券の「過半割れ」はGPIFが現在の組織になって以降、初めて。10月末の比率見直し前から国債の売却を行っていた可能性が高い。

9月末時点での資産構成割合は、国内債券が48.39%(6月末51.91%)、国内株式が17.79%(同16.79%)、外国債券が11.84%(同10.76%)、外国株式が16.98%(同15.54%)だった。国内債券は6月末時点ですでに基本ポートフォリオで定める下限52%を下回っていたが、今回はさらに比率の低下が進んだ。

GPIFは10月31日に、基本ポートフォリオの見直しを発表。将来の金利上昇リスクを考慮して、国内債券の割合を大幅に引き下げる一方、株式の割合を増やした。発表前から国債を市場で売却していたかについて、GPIFは「投資行動については答えられない」としているが、運用委員長の米澤康博・早大教授は11日、ロイターのインタビューで「事前に国債を売却していたと認識している」と述べている。

ただ、新たなポートフォリオでは、国内債券を25─45%の範囲で運用すると定めており、依然として上限を上回っている。いつまでに幅の中に収めるか、GPIFは時間軸を明確にしていないが、今後も比率を低下させる傾向が続くとみられる。

7─9月期は堅調な株式市場などを背景に、2期連続で黒字を確保した。中でも、ドルの上昇によって海外資産の収益額は円ベースで大きく増加。運用益は合計で3兆6223億円となり、9月末の運用総額は130兆8846億円に増えた。

(梅川崇)