ロシア国債「支払い不履行」と認定 市場、デフォルト判断も
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企業でいえば、不渡りを1回出した、ということで、デフォルトが確定するのは、1か月の猶予期間の後、6月26日になります。
米国政府が無理矢理に支払いを妨害した結果起きるデフォルトではありますが、やはり通常のデフォルトと似た結果を部分的には招くことになるでしょう。
企業でいえば、2回不渡りを出したということになると、その会社が振り出した手形が価値を失います。国家でいえば、ロシア国債が価値を失います。
世界各地のロシア国債200億ドル分ほどの保有者が持っているロシア国債が価値を失う、ということになります。
企業であれば、債権者は資産の差し押さえなどによって損害を抑えようとします。ロシア国債の保有者は、ロシアに対して支払いを行うように求める権利があります。
ただし、今回は単純にロシアが破産したということではなくて、ロシア政府の主張では払うつもりなのに米国に妨害されている、ということですから、ロシア政府はデフォルトに陥っていること自体認めないでしょう。支払いを妨害している米国が悪い、という主張をするでしょう。
いずれにしろ、ロシア国債を市場で換金することはむずかしくなるでしょう。
この「デフォルト」でロシア政府がどれだけ困るかというと、微妙なところです。一般に、デフォルトになると、新たな借金ができなくなりますが、どのみち現在のロシアに金を貸す国は無いだろうし、仮にあったとしたら(中国などが)デフォルトかどうかなど問題にせずに貸すでしょう。
第2次世界大戦の間の日本を考えればわかりやすいですが、当時も、日本円をドルと交換することはできなかったし、日本国債を外国で引き受けてもらうこともできませんでした。自国領土とアジアの占領地内の物資を接収して、何とか戦争を回していました。
今のロシアもそうで、どうせ貿易できる相手は限られているし、ロシア国債を欧米の市場で引き受けてもらうことはできないし、必要な物資は国内とウクライナの占領地といくつかの友好国から調達するので、あまり変わらないともいえます。
ロシアは金も石油もガスも小麦も持っているので、それらと引き換えに必要な物資をロシアと取引する国もそれなりにあります。ウクライナの側に立つ諸国が、それをいかにして妨害するか、というイタチごっこのような駆け引きが続くでしょう。これでロシアの国際金融システムからの切り離しは確定的になったと考えたら良いでしょう。彼らは、小さな経済圏に閉じこもって自給自足の暮らしをせざるを得なくなる。ロシアの国民は、それに耐えられるか?
いまのところ中国の官製メディアはこの「事実」を報じていません。「不都合な真実」だからでしょう。
中国は、ロシアがウクライナを侵攻したことによって受けている経済・金融制裁、およびそれによってロシアという国家の政治、経済、国際的地位がどれだけの損失を被るかを固唾を飲んで見守っています。中国としては、当然「制裁を受けても、ロシア(経済、通貨、民族)はなお力強い」という光景を見出すことで、中ロ関係を正当化したい。一方、世界経済との深いつながりを考えると、ロシアと比べても、中国は経済・金融制裁に対してより脆弱(=より大きな損失を受ける)という見方が中国の経済、金融、外交関係者からも聞こえてきます。
今回のロシア国債「支払い不履行」は、中国のドル離れを一層加速させると見ています。人民元の国際化、即ち、特に中国と深い経済関係を持つ国々に、外貨準備として人民元を保有してもらう、二か国間貿易でも人民元で決済する、もっと言えば、「RMB World or/and Bloc」を構築すべく、内向きかつ大胆に動いていくでしょう。