④収益性の高さも、今後のリスクも、モデル年数や直販 Model 3も5年、Model Sだと10年。長い間売れるモデルを作れるのは収益性が高くなるが、新しいModelに一定で交換していく必要もある。今はそれをあまりせずともブランドでできているが、様々なメーカーからEVが導入される中でモデル間の競争も激化する。また直接販売に拘っているが、マスに広がる中では買いやすいなどもポイント。 一方でブランド体験と直売は連動するところなどもあり、このバランスを取れるか。
Founded in 2003 and based in Palo Alto, California, Tesla is a vertically integrated sustainable energy company that also aims to transition the world to electric mobility by making electric vehicles.
サタデー・ナイト・ライブに出演した時のイーロン・マスクの発言です。イーロン・マスクの人格の話になると、難があるのは間違いなさそう。ただ、やはりテスラで挙げた実績は文句のつけようがないでしょう。
テスラはその巨大な時価総額に実力が見合っていないと言われ続けてきました。ただ、今やその営業利益率は自動車メーカーとして異次元の領域に入りつつあります。
テスラというと先進的でソフトウェアに強みがあり、既存の自動車メーカーとはぜんぜん違うことをやっているイメージが強いと思います。ですが、実は注意深く見ていくと、非常にシンプルなモノづくりや販売をしています。しかも、その徹底ぶりが凄まじいです。
しばしば異質とみなされるテスラは、本当のところ、どうやって稼いでいるのか。そして、今後も稼ぎ続けることができるのか。徹底解剖しました。
タイトル見て排出権取引でしょ?と高をくくってましたが、確かに言われてみればあらゆるコスト費目においてこれまでの自動車ビジネスの常識を覆すイノベーションを起こしていて、テスラの凄さへの認識が甘かったことを思い知りました
・部品点数を減らすことによる製造コスト低減
・1品種のみ売ることによる効率性や高稼働率
・定価がなく原料コストにや需給で価格変動
・直販なので流通コストなし
・値引きなし
・広告宣伝費なし
マイナーな点ではワランティのコストも入れたほうがいいのでは(テスラは相当分ソフトウェアのアップデートで可能)、そして「高いから値上げができる」というのはちょっと浅いかと。一般に値上げができるかどうかはスイッチングコストの大きさ=ファンベースの強さと言われます。そもそも高い時点でそれだけの価値を認める顧客がいるということでもあります。
追加:そもそも高い車を買う顧客層はお金持ちだというのが先日のWSJの記事。
https://www.wsj.com/articles/why-nordstrom-steamed-ahead-as-old-navy-sank-11653746400?mod=itp_wsj&ru=yahoo
①構造部分以外は「蜜結合」→「疎結合」がキー
EVは、当たり前だが電気で駆動する。物理的に歯車を組み合わせる部分が減り、部品単位でのコストダウンが簡単になった。ソフトウェアの言葉を使うと、結合が密から疎に変化。半導体不足の際の、半導体の交換とソフトでの対応の組み合わせが代表格。
一方で、駆動するものの効率を上げることは細かい蓄積だし、疲労もあり人命も関わるので、スマホよりクリティカリティが大きく、一緒ではない。
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②構造部分は、プロセスは複雑になっているがすごい
記事のプレスの例が分かりやすい。ただ部品点数を減らすために、プレス工程は複雑。スマホの中でも垂直統合のAppleに近い考え方で、Appleが半導体・OSの組み合わせで最適化しているように、Teslaも同様。4680電池を構造体に使おうといった発想もその一環。
③全体としては、スマホ化というよりプレステ化
プレステは、ユーザーから見たときの外観や価値は変わらなくても、モデルサイクルが5年以上で、その間に半導体など電子部品の進化で大幅にコストダウンし、内部構造もどんどん簡易化され、モデルサイクル全体で儲けている。
上記のような疎結合の構造で、電気回りのコストダウンをどんどん進める。モデルサイクルが長いから開発コストを長期で薄められる、またブランドや売り切る力などでそれをもっと薄めている。だからより変えにくい構造部分も上記のような複雑だったり難易度が高いものを導入できている(導入だけじゃなく執行できているのはすごい点)。
④収益性の高さも、今後のリスクも、モデル年数や直販
Model 3も5年、Model Sだと10年。長い間売れるモデルを作れるのは収益性が高くなるが、新しいModelに一定で交換していく必要もある。今はそれをあまりせずともブランドでできているが、様々なメーカーからEVが導入される中でモデル間の競争も激化する。また直接販売に拘っているが、マスに広がる中では買いやすいなどもポイント。
一方でブランド体験と直売は連動するところなどもあり、このバランスを取れるか。
ゲーム機化、は下記でもコメントした点。
https://newspicks.com/news/6809376
確かに2020年度まではそのとおりでしたが、2021年度からは排出権クレジットの売却がなくても異次元の利益を出すようになっているので、その指摘はもうあたらないんですよね。
テスラは既に「ははぁ」とイーロン様にひれ伏すしかない業績を叩き出しています。
そうするためには、Tesla車をベースにしたソフトウェアプラットフォームをもっとオープンにする必要があります。自動運転だけでなく、どれだけ多くのアプリをトッピングできるかが進化のカギ。
つまり、バリューチェーンも、ビジネスモデルも圧倒的にユニーク。上記ひとつをやるだけでもイノベーションだと思うけれど、一気通貫している。きわめて理にかなっているけれど、わかっていてもできないことばかり。
テスラを立ち上げた時点で、マスクがこれらをどこまで、何年くらい先を見通して進めてきたのだろうか。ベンチャーに身をおく者としても、「新たな産業をつくるというのはこういうことか」と考えさせられますね。
とにかく徹底的に「絞ってる」んですね。
パーツ点数、車種、販売方法、価格帯、宣伝手法などなど。
結果的に全てが利益率アップにつながり、製造業では異次元の利益率になると。
こういった思い切った手法はガソリン車製造の従来メーカーがすぐには取りにくい戦略だとすると、全てがストーリーで繋がっている戦略なんだなと舌を巻きます。
あと、徹底的に絞っているというのはアップルにすごく似てるなって思いました。