IFRSの「のれん」償却、22年秋にも採決 IASB議長
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長年の国際的課題になっているのれんの償却問題、
ここに来てまさかのIFRSで償却が認められるかも、ですか。
M&A大好き企業にはかなりの損益インパクトが出るので、
注目ですね。
ちなみに日本の税務の世界では、
のれんは5年で償却と決まっています。
多くの場合、会計処理として費用として処理しないと
税務上での節税効果が生まれないのですが(いわゆる損金経理要件)、
のれんは強制償却といって、会計上は非償却でも
税務上は課税所得を減らすことが出来ます。
損益は悪化しないのに、納税額は減られされるって
経営者にはとても嬉しい性質を持ってたりします。もともとUS GAAP(米国会計基準)にしてもIFRSにしても、のれんの償却費を計上しないというルールは、純粋に理論的にそれが正しいから決められたわけではありません。
昔からUS GAAPに顕著に見られた現象でしたが、会計ルールは財界、特に投資銀行が鎮座するウォール街やM&Aを繰り返すことで巨大化したグローバル企業からの強い圧力で多分に”場当たり的に”改正がなされてきた歴史があります。
のれんの償却をしないというルールは、その最たるもので、巨額買収を繰り返すことで市場を支配したいグローバル企業にとっては、のれんの償却は邪魔ですし、巨額買収でしこたま稼げる投資銀行ものれんの償却が障害になって企業のM&A規模がしょぼくなってもらっては困るのです。
古今東西、投資は設備などの有形固定資産、知財やソフトウェアなどの無形固定資産にかぎらず、すべからく将来の収益によって回収するのが鉄則であり、会計上も費用(のれん償却費)と収益を対応させて計上するのがスジです。
その意味で日本の会計基準の方が理論的に正しいわけですが、そもそも、コーポレートファイナンスの観点からは、企業価値・株主価値はキャッシュ・フローで決まることはもはや常識というより本能のレベルにまでなっているにもかかわらず、いまだに企業も株式市場も会計上のEPS(1株あたり利益)を重視していることが時代にまったく合っていません。
EPSなんて参考情報程度に追いやってしまえば、のれんの償却費が増えたところで大騒ぎすることもなくなります。
また、本来、企業のビジネスモデルのクセやキャラはバランシートにこそ如実に現れます。なので、私もいろんな場面で「みんなPLは強いけど、本来はみんなが苦手なバランスシートこそ味わい深くて堪能しがいがあるんですよ」というお話しをしています。
ところが、近年、グローバル企業のバランスシートの資産のほとんどが「のれん」という状態で、もはやバランスシートを見てもクセもキャラもわからず、情報としてまったく役に立たないものに成り下がってしまっています。
こんな弊害をなくすためにもIFRSには英断をしてほしいと期待しています♪損益計算書は意見、CF計算書は事実。
とはいえ、多くの人がPLを見て、特に日本では営業利益を見る。そのなかでどの会計基準を用いるかとか、投資家の評価が変わるか、メインに見る評価軸が変わるか(EBITDAではかわらないわけで)などに注目。