天然痘ワクチン「国内で備蓄」 サル痘にも有効―後藤厚労相
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天然痘とサル痘は共にオルソポックスウイルス属のウイルスですが、天然痘の方はサル痘よりも非常に感染力が強く、死亡率も高い極めて危険なウイルスであり長く人類の脅威として恐れられています。世界的でのワクチン接種が功を奏して、1977年以来発生がないため現在は自然感染は根絶されているとされています。またWHOは1980年以降天然痘ワクチンの定期接種を求めないようにもなりました。
天然痘ワクチンはオルソポックスウイルス属のワクシニアウイルスを弱毒化して作成された生ワクチンと言われるタイプのワクチンで、副反応が出やすいことから日本でも広く接種されていません。しかしながら、天然痘ウイルスによるバイオテロの脅威が高まった場合や(現時点では考えにくいのですが)自然的な再発生の事情があるときには、副反応リスクよりも接種の効果が大きくなりますので接種が推奨されることになります。
バイオテロに備えて、各国は国家の防衛目的に天然痘ワクチンを備蓄しているらしいとかねて言われていました。今回、日本でも同様の対応を行っていると後藤厚労相が述べています。ただし天然痘の大流行は想定外だと思いますので、備蓄量はごくわずかだと思います。日本では、かつて国策会社だった化学及血清療法研究所(現KMバイオロジクス社)などで製造されていました。そのような企業で技術が継承されていると思います。
アフリカ以外の国でサル痘ウイルスが拡大することはまれでしたが、現在アフリカ域外で感染が拡大しています。サル痘の死亡率は1~10%程度と天然痘よりもかなり低いのですが、今後爆発的な感染がみられる兆しがあるなどすれば、日本でも天然痘ワクチンの接種が検討されるかもしれません。「危機管理医薬品(MCM: Medical Countermeasures)」の備蓄の話題です。
国民保護のために、様々な脅威を対象として危機管理医薬品(治療薬・診断薬・ワクチンの三種の神器)を備蓄しておくことは重要です。この記事のサル痘の話も、コロナワクチンも、「危機管理医薬品」という同じ政策体系の中で議論されます。これから感染者が出てくるでしょう。海外からの入国者が増えるので。
備蓄があっても、運用ルール、医療体制など、しっかりとした仕組みが確立したいればいいが?
感染症対策の不備が露呈したコロナの件。安心はできない。
そう思う人が多いのでは?