英紙が見た日本の後継者問題 「膨大なノウハウや技術が失われようとしている」
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今週から、香港の投資ファンド、オアシスが、エレベータ会社のフジテックに買収か仕手戦かをしかけていますが、香港やシンガポールの投資ファンドが日本の製造業の会社に買収をしかけるケースがずいぶん増えました。
有名なのは、アジア開発キャピタルによる新聞用印刷機製造会社、東京機械製作所への買収まがいですが、もっと小さいところだと、山のようにあります。
香港のオアシスだけでも、東洋製缶とか、日本人でも名前を知らない、しかし非常に大きな市場シェアを持っている会社にいくつも買収をしかけています。
後継者不足にしても、買収に弱いことも、結局、一族経営で、株主が限られていた、というのも原因です。特定の大手取引先に完全に依存していた、その大手取引先の工場が海外移転してしまえば為すすべもない、ノウハウが継承されず人材を育成してこなかった、新しい事業に乗り出さず、それができそうな人材に主導権を渡さなかった、等々も原因でしょう。DX化を含め、組織の近代化ができていなかった、といういい方もできます。
会社をやっていく人間が誰もいなくなって、瀬戸際に立った時点で後継者を探しても、それはそうそう見つからないでしょう。
放置しておくと、地方の産業も衰退して、アジア諸国に出ていった製造業が国内回帰する機会も無くなるので、外国人材の積極的な登用や外国企業との提携も含め、新しい活路を見つけるしかないでしょう。そんなことができる柔軟性があれば、こうはなってはいないとは思いますが。私も親の会社を引き継がず、廃業しました。
食うためにやむなく起業し、技術という技術もなく、人脈だけで経営してきた空調工事業でしたが、それでも世間様の御役に立っていたようです。
父の葬儀の日、仕事関係の方々が思った以上に集まり、我が父親ながら、誇らしく思いました。
翻って、今の自分の立場は何なのだろうか?
この記事を読んで、自分のなすべきことは何なのか?自分のやりたい事は何なのか?をじっくり考えたくなる記事でした。私自身も、日本の中小企業の中で有意義なリソースのある会社をうまく引き継ぎたいという気持ちもあり、中小企業を投資対象としたPEファンドを設立した経緯があります。
もちろんその背景には、記事中にあるように、日本全体で事業承継に対する構造的な供給増の環境があり、その情報を仲介するM&A仲介会社の勃興という環境(10年前は会社を売却したくてもマッチングできなかった)があり、一定の成功確率を見たうえで設立したつもりです。
また、中小企業の場合、経営者ひとりの力量で会社全体を大きく変革しうるという実例をいくつも見てきて、勝ち筋があると踏んだことでもあります。(中堅~大企業は経営者ひとりの力での変革は困難だと思います。)
PE会社が投資できるのは年間3~4社といったところなので、日本全体の事業承継問題の解決のほんの一部にしか貢献できません。ただ、せっかく蓄積されたユニークな中小企業のリソースを、資本の力で引き継いで磨くことができるのであれば、やって意味のないことでもないだろうと思うところです。(昔の「ハゲタカ」のようなPEファンドは決して多くないです。笑)
記事中にもあるように、世の中小企業オーナーさんたちは、冷静な判断ができるうちに何らかの形で承継することを検討してほしいなと思います。オーナーが高齢になりすぎてまともな判断ができないままズルズルと時間が経過し、会社の経営もおかしくなっていくケースを結構目にします。オーナーとして様々な関係者に責任を負う立場ですので、頭がクリアなうちに最善の手を打って欲しいなと切実に感じます。