[20日 ロイター] - テニスの男子と女子のツアーをそれぞれ統括するプロテニス選手協会(ATP)と女子テニス協会(WTA)は20日、ウィンブルドン選手権の大会主催者がロシアとベラルーシ選手の参加を認めない方針を表明したことを受けて、変更がない限り、同大会にランキングポイントを付与しないと発表した。

ウィンブルドンを主催するオールイングランド・クラブ(AELTC)は、ロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシアと軍事中継地点を担っているベラルーシの選手の出場を認めない方針を示した。

ATPは声明で、「どの国籍の選手であっても、実力に基づき、差別なく大会に参加できることはわれわれのツアーの基本」とし、ウィンブルドンの決定はこの原則とATPランキングシステムの整合性を損い、ランキング協定とも矛盾しているとコメント。「大変遺憾で不本意ながら、状況の変化がない限り、2022年ウィンブルドンからATPランキングポイントを剥奪する以外の選択肢はないと判断した」と表明した。

WTAのスティーブ・サイモン最高経営責任者(CEO)も、個人競技に参加するアスリートは「国籍やその国の政府による決定だけを理由に制裁を受けたり、競技を妨げられたりすべきではない」とツアーは考えているとコメント。AELTCの決定はこの基本原則に反するものとし、「今年のウィンブルドン選手権でWTAランキングポイントを付与しないという難しい決断を下した」と述べた。

また、国際テニス連盟(ITF)も今年のウィンブルドンのジュニアと車いすの部で、ポイントを付与しないことを決めている。

AELTCは声明で「われわれはウィンブルドンでの成功や大会への参加がロシア政権のプロパガンダのために利用されることを受け入れない」と改めて自身の立場を強調。「ATP、WTA、ITFがランキングポイントを剥奪するという決定を下したことに深く失望している。この例外的で極端な状況やわれわれの置かれた立場を考えると、これらの決定は不適当で、ツアーで戦う全選手に損害を与えるもの」だとした。