2022/5/22

【最新起業家】僕は、「日本のお酒」で世界を獲る

日本酒こそが、世界へのチャンスだ──。
この10年で、寿司やラーメンは、世界を席巻する日本食となった。しかし、その次に「日本酒」がブームとなりつつあることを知る人はまだ少ないかもしれない。
この日本酒のポテンシャルをいち早く見いだし、米国で日本酒ビジネスを立ち上げ、猛進する起業家がいる。
「Tippsy」の伊藤元気氏だ。
伊藤氏は2018年、ロサンゼルスを拠点に、日本酒を販売のECビジネス「Tippsy」を創業し、すでに3年あまりで20万本を売り上げるまでに成長させ、この4月には約2億円の調達を発表した。
米国の日本酒市場は、近く日本国内を抜いていく──。
NewsPicksはこう話す伊藤氏を直撃し、いかに日本酒に知られざるポテンシャルを見いだしたのか、そして異国での挑戦がもたらすチャンスとゴールまで、その野望のすべてを語ってもらった。

①「酒爆弾」を超えて…

──まず、そもそもなぜアメリカで日本酒を売ろうと思ったのですか。
もともと僕は、働きながら南カリフォルニア大学のMBAに通っていました。
その時に痛感したのが日本の存在感の薄さでした。
例えば、ケーススタディでも、中国、韓国、ヨーロッパの話題は出るのに、日本はなかなか出ない。「あれ、経済大国じゃなかったの?」と思うぐらい。おそらく日本の全盛期はソニーやトヨタなどが最強だったときで、あとは廃れるばかりですよね。
なおかつ、Uberが日本で配車事業をできないように、海外の会社が日本進出するには規制などの面でバリアが多い。
そうしているうちに、日本は世界から見放されているように感じていたんです。実際、ITスタートアップの分野でも世界で通用する企業はなかなか出ていません。
一方で、日本のカルチャーに対する注目度はものすごく高かった。
日本って、海外から見れば、極東にあるいわば「幻の国」なんですよ。