181Picks
Pick に失敗しました

人気 Picker
「男はある程度セクハラまがいのすることは当たり前。それをうまくこなしていけるのができる女性」という昭和的な価値観が、いまでも上の世代を中心に残っているのではと家内と話したことがあります。「日本企業はイノベーションがない」なんていう前に、女性の可能性を奪うこうした点から変えないとだめだろうと個人的には感じます。
追記
この記事は2022年5月21日に公開されたものですが、6月29日無料公開いたしました。


自分の仕事の体験を振り返ってみると、「うまく逃げれたんだな」と思うシーンは何回かありました。性暴力は、自分の身にいつでも起こり得る危険でした。

映画業界で起きている性暴力の問題は、スクリーンの中の出来事のように関係ないことと捉えてしまいがちです。でも取材をしていると、問題の大小はあれど、問題が起きやすい歪な権力構造や、村社会さは、あらゆる場面にあります。今は女性被害者の方が多いですが、今後は男性の被害者で声を上げる方も増えていくでしょう。誰でも降りかかる可能性がある話であると、思って性暴力やハラスメントの問題と向き合いたいです。

今回、小説家の山内マリコさんと、柚木麻子さんにお話を聞きました。
性暴力などの問題が起きたときに、周りにいる人はどんな行動を取れるのか、
被害者への寄り添い方や、発信の仕方など、学びの多い取材でした。

お話の中で印象的なことはいくつかありましたが、作家同士で連帯できる土壌づくりが以前からなされていたことは、印象的でした。
「性」は太古の昔から人間の本質に根ざした欲求の一つなので、その欲求は大きなビジネスになります。通常のビジネスで「性」そのものを対象にすることはありえませんが、映画業界はその点微妙な産業なのだと考えられます。
アダルトものは言うまでもなく、Youtubeやtiktokで多少の規制はあるものの、その手の微妙な動画の需要は多く、映像の出し手も「性」を売り物にしていることは明らかです。
そういうレベルの動画産業のみならず、そもそも芸能界・演芸界は「出雲の阿国」の歴史を引き合いにだすまでもなく、人間の本源的な魅力を売り物にしてきたのです。
映画業界においても、個別の俳優・女優の意図・意思とは別に、それを需要するサイドが「性」的な魅力を原動力とした行動を取るものとすれば、この業界には通常とは別レベルの魅力を持った人物があつまるのは当然です。魅せる方も作る方も「遅れた」発想にならざるを得ない背景だと思います。
「声明を取り上げる記事については、私たち作家の顔写真は極力使わないでほしいと、メディアの方にお伝えして、協力してもらいました。」伝え方のプロだなと思いました。そんなに細かいところまで配慮しなければ、伝えたいことが伝わらない。言葉と、映像と、どちらもメディアであって、どちらもなんらかのイメージを形作るということは当たり前ですが新鮮な感覚でした。

ハラスメントの問題は複雑で対応が難しいものもありますが、被害者が嫌だと思う行為は無くしていけたらいいなと思います。
先日、代表を務める組織で性教育研修を受けました。
子ども関係の仕事も多いなかで子どもに対してもコミュニケーションのなかで気をつけなければいけないこと
小学生未満であったとしても本人との言語、非言語双方に留意した合意形成のうえでのスキンシップや声かけが重要であること
それができる環境づくりのような内容でした。

おおむね納得の内容である一方で
「合意形成」とは性的な関係にとどまらず非常に誤解も多いコミュニケーションだとも思いました。
例えば過去に遡って「あの時は雰囲気で合意してしまったが、本意ではなかった」
という話が出てきたときにそれに対して実際にどうだったのかジャッジを下すことはとても難しい。
ハラスメント研修などでも思いますが、ある程度組織の中での上下関係がある場合に、「上に立つものは下のものに対して個人的なコミュニケーションは一切とらない」
というのがリスク管理的には正解。となりかねない。

しかし、地域活動のように物理的に近く、長い関係性においては、
複数の組織でそれぞれが上下関係であったり、同等であったり、組織によっては上下が逆転するなどのことも日常茶飯事です。
エンタメ業界も多少関わっていましたが、それはそれで狭い世界なので関係性は流動的であって固定的なものではないとおもいます。

そしてもう一つコミュニケーションは深めれば深めるほどお互いに傷つけあい、それを乗り越えることでさらに深い関係性になることも多い。
長く続いていたものが途切れてまた復活することもある。
夫婦関係、親子関係に例えてみれば、お互いに傷つけ合わない家族などむしろ家族といえるのか?と思うところでもあります。

それが故に、表に出てこなかった、あるいは表に出ても相手にされない、二次被害に遭う。
そういう観点はいましっかりと社会に定着させていきつつも
これから社会を担う若い世代にとって、特に性愛を含むコミュニケーションをどのようにとっていくのか
なかなか難しい課題だと感じます。

そして文学も映画もそのあたりの合理性を超えた、非現実的で信じがたいものが奇跡のように生まれたり消えたりする
この世界の不思議さを教えてくれるものでもあります。
これまで見過ごされてきた性暴力にどう立ち向かうか。声明を出すに至った経緯や連帯の過程、伝え方の具体的な工夫など、学ぶところの多い記事でした。
権力により業界での「生命」を脅かされることのか、暴力により命を脅かされることなのか...の違いはありますが、こちらもどうぞ。
“性暴力”裁判 被害女性が語った15分のことば(NHK

https://www.nhk.or.jp/gendai/comment/0026/topic054.html
この連載について
2017年、ハリウッドをきっかけに世界的に広まった「#MeToo」。日本では、2022年3月の報道をきっかけに、日本映画界から次々と声が上がっている。このうねりの裏にある業界の構造問題や、対応策を知ることで、日本の多様性を考えていく。