2022/5/19

【新】故人のブログが物語る、死に直面した人々の「本音」

NewsPicks編集部
まるで預言者のように、新しい時代のムーブメントをいち早く紹介する連載「The Prophet」。今回登場するのは、新著『ネットで故人の声を聴け~死にゆく人々の本音~』(光文社新書)が反響を呼んでいる、ジャーナリストの古田雄介氏だ。
インターネット上には、すでに亡くなった人々のホームページやブログ、SNSの投稿が残されていることが珍しくない。その多くは、故人が死(病死、自死、老いによる死など)に直面し、死を意識する日々のなかで書かれたものだ。
こうした「故人サイト」は、死に向き合った人々の思考や記録を追体験し、私たち自身が「死」について考えるきっかけを与えてくれる。その価値に注目した古田氏は、約4000件にものぼるリストを作成し、定期巡回を行ってきた。
(Yuga Kurita/Getty Images)
作成者が亡くなった後も残るデータだからといって、「故人サイト」は決して永久的な存在ではない。サービス業者の事業撤退に伴って消滅してしまうケースもあれば、レンタルサーバーの利用料が支払われなくなったことで姿を消すケースもある。
だからこそ、そのサイトが存在しているうちにスポットを当てたい──そう古田氏は考えた。
故人のあずかり知らないところで、私的な記録を掘り起こすことの重さを十分に承知しながらも、多くの人とその価値を共有したいとの思いを抱いたという。
広大なネットの海から、古田氏がすくい上げた「故人の声」とはどのようなものだったのか。それらは、私たちにどのような視点を与えてくれるのか。同書の内容をもとに紹介していこう。
INDEX
  • ブログだから見える「故人の本音」
  • 人それぞれの「死との向き合い方」
  • 「お墓」としての故人サイト