2022/5/14

【超約】今週のニュースを「3つの要点」でおさらい

NewsPicksでは毎週土曜日、本記事と同内容のニュースレター「今週のニュースのポイントをつかむ」を配信中です。重要ニュースの要点を素早くキャッチアップできます。

①大企業決算、明暗分かれる

(写真:Bloomberg)
💡概要
2022年3月期決算では大企業の明暗が分かれました。
好調だったのはトヨタ。新車販売台数の大きな回復と円安の恩恵を受け、営業利益は2兆9956億円に。日本企業として過去最高益となりました。
ソニーは、オンラインゲームや映画などのエンタメ事業が牽引し、営業利益は前期比26%増の1兆2023億円と初めて1兆円の大台を超えています。
一方、ソフトバンクグループは、純損失が1兆7080億円と過去最大の赤字に。利上げなどで、米国が成長株に厳しい市場環境となっていることや、大幅な円安も追い討ちをかけ、前年の純利益約5兆円から大きく落ち込みました。
🤔ちなみに…
ソフトバンクグループのような海外企業への外貨建投資が多い場合、円安に伴い、為替差益はプラスになる傾向があります。
ただしソフトバンクグループと国内の資金調達子会社の米ドル建て負債(子会社からの借入や外貨建て普通社債など) が、米ドル建て現預金・貸付金を上回っていたことから、ソフトバンクグループは為替差損7061億円を計上しました。
ポイント
①トヨタは鉄やアルミなどの資源高騰を考慮し、23年3月期は2割の営業減益を見込んでいる(想定為替レートは115円)。

②半導体不足や物流の混乱から供給不足に泣いたソニーの「プレイステーション5」の販売台数は1150万台で、目標(1480万台)に届かず。

③ソフトバンクグループの孫正義社長は「守り」という言葉を繰り返し、投資の大幅縮小を継続する方針を示した。

②仮想通貨が「暴落」

(写真:EPA=時事)
💡概要
暗号資産(仮想通貨)市場で、12日に約26兆円が消失し、激震が走っています。
きっかけは、アルゴリズム型ステーブルコインのテラUSD(UST)の急落です。
暗号資産市場全体の資産流出の影響を受け、アルゴリズムが機能しなくなり、9日には約3割、11日には約8割もテラUSDの価格が下落。それがさらなる主要暗号資産の売りを誘い、ビットコインは一時10%、イーサリアムも16%急落しました。
この急落を受け、イエレン米財務長官は「(ステーブルコインは)急速に成長する商品であり、金融安定性へのリスクが存在するため適切な枠組みが必要なことを示していると考える」と上院銀行委員会で発言しています。
その後ビットコインとイーサリアムは価格を戻し、ステーブルコイン最大規模のテザーも回復傾向に。しかし、ステーブルコインの信頼性が揺らいだことから、各国で規制をめぐる議論が再熱しそうです。
🤔ちなみに…
ステーブルコインとは、その「ステーブル(安定した)」という名の通り、(法定通貨とペグすることなどで)価格が安定するように設計された暗号資産のこと。法定通貨と比較すると変動が激しいという暗号資産の課題を解決し、実用性を高めるために考案されました。
法定通貨を担保にした「法定通貨担保型」、特定の暗号資産を担保にした「暗号資産担保型」、金や原油などの価格に連動させる「コモディティ型」、アルゴリズムで流通量を調整する「アルゴリズム(無担保)型」(野村證券公式サイトより)に分類されます。
ポイント
①ステーブルコイン「テラUSD」が一時8割近く下落。

②それをきっかけに主要暗号資産、関連株にも売りが広がった。

③今回の騒動が、各国でのステーブルコイン規制をめぐる議論再熱の引き金に。

③天の川ブラックホール、初撮影

(写真:AFP PHOTO / European Southern Observatory)
💡概要
天の川銀河の中心部にある巨大ブラックホールがついに姿を現しました。
電波望遠鏡を使った国際観測プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」が撮影に成功したのは、地球から約2万7000光年(1光年=約9兆4600億キロメートル)離れた天の川銀河の中心部にある「いて座Aスター」というブラックホールです。
2019年に世界で初めて撮影されたM87の巨大ブラックホール(地球から約5500万光年)と比べて、「いて座Aスター」は地球から近いものの、周囲のガスなどの回転時間が短く、撮影が困難とされていたそうです。
今後、銀河の形成や進化解明への手がかりとなることが期待されます。
🤔ちなみに…
撮影に成功したEHTは、世界21の国・地域から、日本人研究者22人を含む300人以上が参加する国際観測プロジェクトで、世界6カ所8台の望遠鏡を連動して観測したそうです。
この名称は、光すら脱出できないブラックホールの境界「イベント・ホライズン(事象の地平面)」という物理学の概念にちなんでいるそうです。
ポイント
①今回の画像は、2017年の観測データを解析したもの。発表までの5年間、データ処理や議論が重ねられた。

②撮影された「いて座Aスター」の明るいリングの大きさはアインシュタインの一般相対性理論の予言と一致。

③EHTの次の目標はブラックホールの「動画」の撮影。