東芝、綱川氏が取締役退任へ 取締役会議長は外部登用
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混乱が続くように見える東芝ですが、外形的な基準から見るコーポレート・ガバナンスの仕組みは、株式会社としての高い透明性が確保されている仕組みが作られています。コーポレート・ガバナンスに重要な考え方として、「株主に主権があるにも関わらず、立場上株主の代理人である経営者(取締役)の権益が強大化しすぎないことを防ぐ仕組みづくり」があげられますが、東芝には高いレベルにおいてこの仕組みが備わっています。
東芝のような「指名委員会等設置会社」は、次の取締役を(東芝との利害関係がない)社外取締役を過半数構成員とする「指名委員会」が指名して選出する仕組みを有することから、取締役人選において、現経営幹部の意向を排除できる仕組みを持ちます。
さらに東芝の場合は、そのようにして指名された取締役会の議事進行に権限を有する取締役(取締役会議長)さえ、東芝の内部出身者を避けて指名することをルール化しており、この点でも「現経営幹部の意向を排除する」高いレベルの仕組みを有しています。
逆に、世代交代が進み権力の承継が弱まった東芝内部出身者の権限は、相当に弱まっていると感じます。この傾向は、コーポレート・ガバナンスの趣旨によれば「株主側に立つ経営側(社内外取締役)」と「業務執行」の適切な分離の概念につながりますから、実は、本来の望ましい経営組織運営体制ということになります。
ただし現状においては、これら「社会の公器」を目指したシステムが業務執行を行う内部出身者に萎縮をもたらしているように見え、政府や大株主の対立に巻き込まれたり、外部からのコンサルティングに意思決定の立案を頼り切るような主体性に欠ける不安定な経営が続くことが危惧されます。アメリカ時代からいろいろな企業の取締役を見てきましたが、取締役が会社を悪くすることはあっても、取締役のおかげでよくなったという話はほとんどないという印象です。最近スタバの取締役はすごいメンツですがシュルツ氏が再登板せざるを得なくなっていますし、あのテラノスも綺羅星のようなメンバーでした。現場が仕事に専念できる環境に早く戻ればいいなと思います。
ガバナンスが機能するのはそれを受けるマネジメントの腹が座って実力があるからであって、その逆ではない。東芝の問題は、実は極めてマネジメント側の問題である。