【必見】アメリカの「中絶問題」は、歴史に残る大事件だ
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30年ほど前、米国の語学学校に通っていた時に、授業でディベートを行うことがよくあり、「中絶の是非」は頻出のテーマでした。
思い返すと、中絶に反対する論点は、どのタイミングから人は人であるのか?、受精したタイミングから人であるとするならば「①中絶は殺人と同じだと考えるべきではないか」というものと、特定のキリスト教を信じる生徒からは神が決めていることで「②議論の余地がなく悪である」、という2つだったと記憶をしています。
②の発言をしていた人たちは、賛成・反対の立場を変えながら進めるこのディベート形式の授業に参加できなかったことに、その当時、驚いた記憶があります。
望まれない妊娠の負荷とのバランスをとった議論など、様々な観点を踏まえた最善の方針を考え出す知性が人間にはあると思っていたのですが、宗教などの変えられない信念とのぶつかりあいは合理では解けないため、どちらの信念がマジョリティを握るのかのパワーゲームになると学びました。解説を担当しました。
いただいたコメントの中に「少子化と関係あるのか」というご指摘がありましたが、基本的にはアメリカの文化戦争の話。
アメリカの特殊出生率は1.6と他の先進国と同じように人口を維持できる2.1を大きく割っています。ただ、移民が人口増を支えており,OECD加盟国の中の人口増はトップ。
今回は言及していませんが、移民の中にもカトリックの福音派はいるので、このあたりがこの問題の党派性をどう変えていくのかも注目されるところ。日本では連日報道されるほどではありませんが、アメリカメディアはウクライナと並ぶトップ級の扱いで、中絶問題を取り上げ続けています。「中絶反対」は感覚的に馴染みが薄いかもしれませんが、これからLGBTQなどにも議論が発展する可能性があり、より大きな問題になるかもしれません。
最大のポイントは、最高裁の構成にあります。判事の任命権は大統領にあり、基本的には終身制であるため、自分の考えに近い判事を増やせば、過去の判決をくつがえすことも不可能ではありません。トランプが植え付けた種が、ここでも社会を揺さぶっています。