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アルツハイマー型認知症の治療薬は望まれるものの、一進一退で、なかなか進まない。とはいえ、治療に頼らなくても、認知機能の衰えを受け入れ、豊かに生活する道は色々あるので、そこに注力するのがやはり大切だなぁと再確認。
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医薬品の認可プロセスでは、(1)病態発生の原因と認可を受ける医薬品候補がこれを抑制的に作用する理論が明確にされていること (2)医薬品候補を投与した場合「用量に依存する」効果を発揮すること (3)二重盲検法などを用いできるだけ人為的バイアスがかからない方法で臨床試験を行うこと (4)事前に予測した「研究仮説」に基づく臨床試験計画からの結果のみに基づいて科学的に臨床成績を判断する、ことなどにより「成績の質」を保証します。

当該医薬品は、アルツハイマー型認知症の原因物質とされるたんぱく質「アミロイドβ(ベータ)」を除去する効果があるとされる医薬品ですが、上記(1)に関連してこの原因説には異論もあり、その中で、(4)に関連して、当初の臨床試験成績で承認の判断に至らなかったところ、事後解析により特定投与群で「有効」と判断し承認されたというものです。

当該領域は、アルツハイマー患者団体からの要望が極めて強いことが知られており、政治的な力が働いて認可誘導されたように見えていました。科学的根拠に乏しい要望を重視するか、科学的判断を重視するかの狭間での興味深い課題でした。FDA承認の判断に抗議し、科学的な見地から審議する使命をもっていた数名の審議委員(科学者)が辞職しています。

「アデュカヌマブ」は、当初の米国での承認後、米国では多くの民間保険会社が同薬剤の保険取り扱いを極めて異例の扱いで拒否し、欧州医薬品審査庁は科学的根拠に乏しいとして不承認、日本では審査データ不足として審議保留にされていました。

今回の経緯は、現代製薬ビジネスの難しさが集約されています。現代では希少薬をはじめとして患者(消費者)団体にアクセスすることが国を動かすための近道であることから、多くの製薬企業はこれを実践しています。しかし、科学的根拠の不十分さを理由に医療財政側が難色を示し、これを突破することが困難だったということになります。

エーザイの株価は当医薬品の発売時にはそれまでの約2倍に急上昇しましたが、すでに発売前以下の水準に下げています。
「エーザイ株がストップ高 アルツハイマー新薬の承認で」(共同通信 2021年6月8日)
https://newspicks.com/news/5915936?ref=user_1310166
然るべし。本来二本のP3試験で有効性と忍容性をしめすべきところ、一本の試験の成功をもって上市し、医療保険に薬剤費を負わせて(本来不足しているもうひとつの実質的なP3を)P4として行う、というのは虫が良すぎたと言えるし、倫理的にもどうなのか。
改めて3年くらいをかけてP3をもう一本やるという選択肢があったと思うが、コロナ禍で治験が進めにくいことと競合薬の進捗を見てギブアップしたのではないか。
一定の経営責任は免れない気がします。

この薬剤のFDAによる条件付き承認は拙速だった、あるいはBIIBの立場を鑑み時間的猶予を与える政治判断だったとみなせなくもないのですが、他方で、米国が高齢化社会への備えに真剣になったという捉え方ができると考えます。
WSJの記事によれば、ほとんどの健康保険会社が年間$28,200にも及ぶ薬代を拒否したことが直接の原因のよう。記事にかかれている「商業インフラ」とは医師や保険会社への営業体制と思われる。エーザイはあきらめてないとのことですが、どうなるんでしょう。一瞬喜んだ患者さんやその家族の落胆ぶりが目に浮かぶようです。

https://www.wsj.com/articles/biogen-ceo-to-step-aside-after-alzheimers-drug-struggles-11651580472?mod=hp_lead_pos5
神経領域とがん領域に強みを持つ製薬会社。米バイオジェンと提携する認知症治療薬「アデュカヌマブ」、「レカネマブ」や、エーザイ創生の抗がん剤「レンビマ」の価値最大化に向けて取り組む。
時価総額
1.85 兆円

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