米最高裁、中絶合憲転換か 多数派意見、異例の報道
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審理結果が1が月強早く漏れた形ですが、これの政治的意味も破壊的。保守派は歓喜する中、リベラル派の怒りは収まらないと思います。低投票率の中間選挙では、動員を決めるのが現状の政治に対する強い感情。バイデンに対する共和党支持者の怒りが優勢でしたが、民主党支持者が刺激される形になると思います。
人工妊娠中絶についての賛否は日本でいえば憲法9条のように国民を大きく割る「くさび型争点」。6月までの今期の最高裁の目玉争点として最後に73年の決定の見直しが位置付けられ、9人の判事のうち6人が保守の「超保守」となった今の最高裁の構成では73年判決が覆されることは規定路線とみられていました。
いずれにしろ、これほど大きな判決内容が事前に外に出ることはあり得ない話です。
リークは驚きましたが結果は全く驚かなかったです。最高裁の審理は録音音声が公開されます(のちに書き起こしも公開)。昨年の12月の審理を前に聴きましたが、その段階でミシシッピー側の勝訴(中絶禁止合憲)が明らかでした。同じようにとった識者も多いと思います。
今回のリークはこのように事前に結果が予想できたためだと思います。6対3なのか、5対4なのかはまだ不明ですがアリトー判事の多数派意見(最高裁の裁定の際に、意見が割れた場合には多数派と少数派の意見が開示されます)がリークされています。
アリトー判事の「『ロウ判決』は最初から大きく間違っていた。理由は極めて脆弱であり、この判決は有害な結果をもたらした。そして、『ロウ判決』と『ケイシー判決(ロウ判決を追認した92年のもの』)は、中絶問題の全国的な解決をもたらすどころか、議論を燃え上がらせ、分裂を深めてしまった」とリベラル派からすればかなり一方的な記載かと思います(それがリークを加速させたのかもしれません)。
6対3か、5対4かですが、なんとなくロバーツ長官のこれまでの判断の傾向から妊娠中絶容認の方で5対4のような気がしています。
妊娠中絶可否は州の決定によることに戻るため、州を超えて中絶クリニックに行かざるを得ず、「望まない妊娠」をめぐる惨劇がいろいろ出てくると思います。そのあたりは、96年の映画「If These Walls Could Talk」(アメリカに住んでいたときに見たので日本のタイトルは存じないのですが)に描かれています。毎回思う素朴な疑問。
中絶が違憲というならば、女性が望まない妊娠をさせた男性は法律で罰せられないと、妊娠してしまった女性が負う責任とバランスが取れないと考えます。
妊娠は一人で出来ないのに、この議論は、妊娠させた男性に焦点が当たらないことに、アメリカの偽善を感じます。アメリカ
●殺人発生率 (2020年)
世界 44位
先進国中ではロシアに次いで2位
●レイプ発生率 (2010-2012年)
世界11位
先進国中ではスウェーデン、オーストラリア、ベルギーに次いで4位
どう考えても「生」と「性」を大切にしている国とは言えない犯罪発生状況のアメリカ。
アメリカの中絶反対はキリスト教原理主義的な盲信的な印象が拭えない。
インテリ層の中絶反対派は、中絶の是非よりも票や支持を得るために中絶反対の立場を取るのでしょう。
ウィルスミスのビンタ騒動でも、アメリカは『暴力は悪いことになってるから、口で侮辱したクリスロックよりウィルスミスが悪い』という思考になる。
(一部のアメリカかぶれ日本人が、あたかもそれが正義かのようにドヤ顔してましたが)
アメリカは、トランプ大統領が当選した時に炙り出されたように、国民の大半が非インテリ層です。大した教育も思想もありません。
アメリカの民意が「熟考された上の理性的な回答」ではないことを意識する必要があります。
まあ、どの国も、どの組織も、多人数の集団の民意というのはそんなもんですが。