空飛ぶクルマベンチャーSkyDrive、「2025年の事業開始」へまた一歩前進
コメント
注目のコメント
SkyDriveが昨年のeVTOLに続き、二人乗り機体でも国土交通省と審査適用基準方針の合意をしたとのこと。今後は証明計画合意→試験機製造開始→飛行試験開始→2025年の形式証明取得、事業開始を目指します。
SkyDrive:https://skydrive2020.com/
プレスリリース:https://skydrive2020.com/archives/9238
日本初、SkyDrive「空飛ぶクルマ」eVTOLの型式証明申請を国土交通省が受理・2025年大阪ベイエリアでのサービス目指す
https://newspicks.com/news/6310926審査基準、合意したんですね。
因みに、いわゆる「空飛ぶタクシー」に属する航空機の審査基準が耐審のII部に落ち着いたというのは、比較的順当な話になります。理由は、日本の現行II部は米国のFAR Part 23と同等のNormal Category用であり、先行するJobyやArcherなどの米eVTOL機もPart 23を審査基準(Certification Basis)として米連邦航空局と合意済みだからです。(注:両機とも初度認証はパイロット同乗の有人操縦にて申請)
また「機体の形状や搭載システムに自由度を加えられる最新の審査要領」と言うのは、従来は翼やローター、操縦索など伝統的な機体構造に対して具体的要求が設けられていたのに対し、特定構造を想定しない安全性要求の条文になっているここ10年ほどの新方針を指しており、欧米で“Performance-based Criteria”と呼ばれるものです。同じ耐審の中でもIV部(ヘリコプター)をベースに審査する事も考えられる(現に米国eVTOLにはそういう機体も存在する)のですが、それだとヘリと構造が違って逸脱する部分にいちいち特別要件というものを設定しなければなりません。「最近の審査要領」ではそれが不要になります。
ただし、いい事づくめかというとそうでもなく、要求文が高次・抽象的になるため、審査する側に更なる背景知識(審査要領文の意図、適合判定の閾値感覚)と判断力が必要になる、という懸念があります。例えは悪いですが、「スリは犯罪」を「不当な経済的負担を与えてはならない」と言い換えて立件も裁判も長引くようなイメージ。
加えて、米国でも欧州でも、このPerformance-baseで型式証明を取得した機体は未だ存在しないため、参考に出来る「判例」は存在しません。
このように、審査する側・される側の双方に設計以外のスキルが必要になるのが型式証明作業、確かにeVTOLのような新しい形態の航空機では審査基準の合意も一つのマイルストーンと呼べると言えますが、今後の証明計画と審査作業は更に険しい道になりますので、重ね重ね武運長久をお祈り致します。