アマゾンが経済学の博士を100人雇う理由
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ミクロ経済学側の方々でしょうね。産業経済学なんかやってたりすると、企業の行動やその結果の利潤最大化、均衡など、なかなか応用が効きますよね。計量経済も必須でしょうから、データ分析に必要なスキルも十分。良い時代になりました。
注目のコメント
ITの分野では物理学や宇宙工学などで博士号を取った人材が、それはそれは多く活躍されています。蛇足ですが、私も博士を取ったのは半導体でした。
よく、「博士はオタクが多い。実社会では使い物にならない。」という議論を耳にします。こだわりが強く、そのような人材がいることは否定しません。
ただ、少なくとも私は博士の学生を特定の分野のプロフェッショナルに育てる気は毛頭ありません。例えば、深層学習は10年前までありませんでした。今後10年今の隆盛が続くとも思っていません。変化の激しい世の中です。そんなときに例えばAIしかできない「AI博士」を育てても使い物になりません。私が狙っているのはそこではありません。
博士は自らの手で問題を発見し、問題を解決し、さらにそれを誰もが納得する形で(実験結果や論文などで)論証・検証する能力を養っているのだと思っています。これらの能力が獲得できれば、どの分野に行っても生き延びれるはずです。〇〇学と細かく分かれているのは、一般的にその能力を獲得しようとしても広すぎて難しいので、自分が興味を持てる分野に絞ってフォーカスを当ててその訓練をしているだけです。
特に私はこの中でも「問題発見能力」を重視しています。問題が与えられたらそれを解くことができる人は意外と多いです。しかし、そもそも何が解くべき問題なのか、明確に言語化できる人材は稀です。
未来が見通しにくくなっている時代において、博士人材の活躍の場は更に増えると思っています。ちょうど下記の日経記事も今日出ました。併せてどうぞ。
「低学歴国」ニッポン 革新先導へ博士生かせ
https://newspicks.com/news/7014432データ分析には、大変多様なやり方があることがこの背景にあります。データを活用する人の能力や背景で、結果は全く異なるものになり、それはビジネスの浮沈に大きく影響するのです。
同じデータを分析のできる人に与えたら、同じような結果になるのではないか、と思う人が多いと思いますが、実際には、そうなりません。
それどころか、全く違う結果になります。
私は、これを実際にやったことがあります。我々は、人や組織のデータを大量に収集してきたので、これを学術目的で活用してもらおうと、経営学、心理学、組織心理学、数理解析、などの専門家に提供してきました。その結果、全く異なる分析手法と結果が用いられて、結果も全然違う物になったのです。
分野の違いだけではありません。分析者の能力が大きく影響します。なぜなら、問題の捉え方やアプローチの仕方は無限にあるからです。
理系の問題は、答が一つに決まる、と小中高での経験から、そう思っている人がもしかしたらいるかもしれません。とんでもありません。現実には、無限の可能性の中で道をつくる作業です。
だから、博士が重要なのです。博士で学ぶのは、正解ではありません。
博士は、答のない問題に、いかに迫るかを格闘する経験をもった人です。さらに、その結果を独りよがりにならずに、より広い人達にコミュニケートした経験を持つ人です。
だから博士が必要なのです。この事実が日本では認識されていません。博士を、実務には役に立たない専門を深めた結果、視野が狭くなり、会社では扱いにくくなった人ととらえている人が多いのではないかと思います。
(日立は全くそんなことはありませんので、誤解のないように)。
日本の現場や実物を重視する風土が、抽象的な問題解決能力やその体験を尊重しないことになっているのです。ここは一気に変えなければいけないところだと思います。
この見方を変える必要があります。