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ただし、この地方創生臨時交付金(正式名称は「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」)は、最初の緊急事態宣言が出されたタイミングで2020年4月に1次補正で計上された1兆円、同年6月の2次補正の2兆円を皮切りに、2021年12月の経済対策で計上された6.8兆円まで含めて累計9回、総合計で15兆1570億円が措置されている交付金をさらに1兆円拡充して導入するものであることを、しっかり理解する必要があります。
以下に貼ったリンクは、まさに先週4月19日の政府のワーキンググループで審議を行った際に提出されたパワポ資料です。是非パラパラと見てほしい。その使途は多岐にわたり、モザイクのようになっています。この使途の妥当性や効果検証をしっかり行うべきだとの議論が起こった矢先の1兆円増額だということを、理解してもらう必要があります。
記者会見の質疑では、日経の記者などが今回の経済対策で予備費を使うなどのやり方では国会の監視が甘くなるのではないかというやや表面的な質問をして、総理からさらっと返されていますが、これは本来もっと深い議論をすべき大きめのテーマです。
そして、その効果検証には地方創生臨時交付金を配る窓口である内閣府に責任を押し付けず、自治体や経済対策がカバーする分野を所管する各府省庁がしっかりと協力して取り組む姿勢を持つ必要があります。その結果を、EBPM(データに基づく政策形成・評価)として国会が(その前段階として経済財政諮問会議の経済財政一体改革推進委員会が)行えばよいのです。
さらにいえば、その効果検証のために、国や自治体が行政サービスのDXを強力に推進し、そこで生まれる様々なデータを利活用して、よりよい政策につなげる、という意識をあらたにすべきです。
【地方創生臨時交付金について(2022年4月19日内閣府提出資料)】
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/wg6/20220419/pdf/shiryou6.pdf
その心意気やよしですが、 “需要が足りないので政府が借金して需要を作る、需要が増えて経済が成長すれば税収が増えて財政が健全化する”という論法で、経済が本格的な停滞局面に入った1995年から2020年の間に、日本政府は借金を954兆円積み上げました。それを駆使して需要を作ったわけですが、この間、日本のGDPの増加は僅か12兆円にとどまります。政府が如何に需要を作っても、日本に本質的な成長力が無く需要が海外で生産されたモノとサービスで埋まるなら、日本は成長軌道に戻れません。折角需要を作っても、それが一巡した後には政府の借金が残るだけ。
需要が不足しているから政府がカネを配るという話は誰の耳にも心地よく、今回も政府首脳はそういう主張をするエコノミスト等を招いて話を聞きつつ対策案を練っているように感じます。インフレ・デフレは貨幣的な問題だから日銀が大胆な量的緩和をすればインフレになって経済が成長するというリフレ派エコノミストの話も、国民から嫌われることなく耳に心地よい主張であった点で同じです。
金融政策にせよ財政政策にせよ、需要を作る政策は即効性があって反対も少なく時の政府にとって楽ですが、所詮は短期的なカンフル剤に過ぎません。日本経済の過去30年の軌跡をみれば、そしてアベノミクスによる円ベースでの成長と引き換えに円安と物価上昇で国民が貧しくなりつつある現況を見れば、そうした政策の限界は明らかです。
「皆様のお手元に各種の支援策を届ける」、「輸入小麦から国産のコメや米粉、国産小麦への切り替えを支援する」、巨大なイカのモニュメント等が批判を浴びる「地方創生臨時交付金を大胆に拡充して1兆円の枠を新設し」といった報を見ていると、今回もまた、時間がかかり既得権益層からの抵抗も強い政策が葬り去られ、同じことが繰り返されるように感じます。こんなことを繰り返してていいのかな・・・ (・・;
マクロ計量モデルの乗数では給付金や補助金よりも、使った人が得をする減税の方が圧倒的に需要喚起の効果が高いのですが。
3月が0.8%で、インフレ目標が2%なんだから、もっと物価高騰しないと本当はいけないよね。
3月の消費者物価指数 前年同月を0.8%上回る 7か月連続上昇
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220422/k10013593551000.html
政府がバラマキをやるのは、夏の参議院選挙対策だと言われても仕方がないと思います。
「国民生活を守り抜く」というのであれば、補助金や給付金を一律に出すバラマキではなく、本当に困っている人たちにお金が回るように工夫すべきです。