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日本が貿易収支で経常収支の黒字を稼ぐ国から所得収支で稼ぐ国に転じて久しく、年度単位の貿易収支はしばしば赤字に転じています。前回原油価格が大きく上がった2013年前後は10兆円規模の赤字を計上していますから、「昨年度貿易収支 5兆3749億円の赤字 2年ぶり貿易赤字」ということ自体はさほど驚くべきことでも無さそうです。
とはいえ、米国のシェールオイルの増産をきっかけに原油価格が急速に下がって貿易赤字が縮小し、数か月間赤字に転じて心配された経常収支が黒字に戻った前回と異なり、今回は経常収支が恒常的に赤字になりかねない状況が生まれています。
政府が巨額の赤字と借金を抱えても国債と円が信認を保てるのは経常収支が黒字を保っている、つまり政府と民間を合わせた国全体が黒字を保っているからで(≒日本が生み出す広い意味の価値が日本で余って外国に“売れている”)、この構図が崩れると国債の金利が上がって円の価値が下がることになりかねません。現にいま、国債金利が日銀が上限と定める0.25%に迫り、円が128円台に下がるなど不気味なトレモロが聞こえています。 
そしてまた、日本で働くほかない多くの国民の賃金に回るのは日本で生み出されたモノの価値ですから、資源価格の高騰で貿易収支の赤字が拡大して日本で生まれたモノの価値の海外への流出が進めば、いくら企業が外国で稼いで所得収支が増えても、庶民が貧しくなる可能性は高そうです。
貿易収支と経常収支は黒字が善、赤字が悪といった単純なものではないですが、日本が置かれた状況を考えると、資源価格の上昇、なかんずく輸入価格が上がって輸出価格がそれほど上がらない形で起きる貿易収支の赤字の拡大と、その結果として経常収支の赤字が恒常化する可能性には警戒が必要です。
脱炭素化で化石燃料の値段が上がる一方で、半導体不足が加工組立産業の輸出足かせになりましたね。
ただ、米国みたく内需が旺盛な良い貿易赤字もあります。
円安になると当初は輸入代金が増加して、貿易赤字を計上しますが、しばらくすると輸出価格の低下により輸出数量が増加し、円安方向への為替変動は貿易収支を改善させる効果を持つ事が期待されるのである。
と、どこかの国の財務省のレポートにありました。
日本以外で自社製品が購入、流通する方がよろしいですので、メーカーさんとかはこれからどんどん外に出る傾向が増える前触れと考えればポジティブー、になりますよね。