ツイッター、マスク氏買収案で防衛策 「毒薬条項」を導入
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一般論として、ポイズン・ピルなどの敵対的M&Aへの防衛措置は、現経営陣の自己保身が背景にあることが多く、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の劣化を引き起こす可能性があるとされます。
1980年代の米国でのM&Aブームの時、敵対的M&Aの標的になりそうな企業の経営者たちは、ポイズンピルやゴールデンパラシュートなどの買収防衛策を講じ、自らを解任できなくさせる結果として自らの利益を守ろうとしていました。これをされると本来は株主にとって望ましいかもしれないM&Aの選択肢が、検討段階で早々に破棄されてしまうことになります。
そこで、買収される予定側の経営者がつくりたがる「買収防衛策」に対抗して、大規模機関投資家は、株主提案権を行使してこの買収防衛策(ポイズンピルなど)の企業内規定を廃止させるように働きかけました。「コーポレート・ガバナンス」の論点は数々にありますが、株主の権利を制限する約束事である「買収防衛策」の設置には、「明らかに止むを得ない事情がある場合以外は慎重に」というのがあるべき姿だと思います。
ポイズンピルなどの買収防衛策は、新規に買収したい側の株主利益を一律に落として買収を極めて行いにくくさせる手法ですので株主の選択肢を狭めることになり、これが一律に行われるなら、株主にとって有利な取り決めになるとは思えません。
つまりは、M&Aの是非は個別に判断されることが株主の利益を生みますが、一律に「買収されないような仕組み」を作ることは、一般には株主の利益を害するものと考えられます。
記事中、今回の情報源になった「マスク氏によるツイッター買収案は、14日に公開された米証券取引委員会(SEC)への提出資料で発覚」という点について、もともとは市場の寡占が生じる可能性をSECが審査するために広く対象をとって設けられる買収や株式買い集めの前の事前手続きという位置付けです。今後同業他社などからコメントが集められ、SECが自由競争を阻害すると判断した場合には許可されないことがあります。これも一般論です。Elon Maskはここまでは織り込み済みでしょうね。元々15%以上の取得をしないことは取締役就任依頼時からの目線ですし、取締役会はElon Maskと敵対している前提ですから、取締役会だけで発動できる買収防衛策は実施する。
さて、これが株主からの差し止め請求にあってからが勝負ですね。
色々と書いてみたので、是非みてみてください。関心が高ければまた続報書いてみます。
昨日書いた導入編👉
『Elon MaskによるTwitter買収』
https://newspicks.com/topics/Startup_Finance_Murakami/posts/17?ref=TOPIC_POST_MANAGEMENT_VIEW
さっき書いたシナリオ編👉
『Twitter買収防衛決議、その後のシナリオ』
https://newspicks.com/topics/Startup_Finance_Murakami/posts/18?ref=TOPIC_VIEW
noteにも昨日の発表直後に少し書いてます。
こちらも是非👉
『Elon MaskがTwitterを買収する件』
https://note.com/201707/n/n91ef445208a7ひと昔前まではポイズンピルは保身の道具だったが今回も含めて近年ではそのような使われ方は許されない。では今回ボードは何のためにやっているのか、と言えば、マスクの提案に対する好き嫌いとか、値段に不服だからという事ではなく(それらもあるだろうが。何しろテックグロース割高相場だったからとはいえ去年60-70ドルで推移していたがマスクの提案は54.2ドルだ)、Twitterが個人1名の所有となって非公開化する事(によって巻き起こりうる事)の社会的、倫理的なリスクを嫌ってではなかろうか、と推測する。公式リリースには何の説明も書いてないので推測に過ぎないが。
ところで今回の事でマスクすごーい、楽しみー、という類の反応を示しておられる方々は本当にTwitterがマスク一人のモノになったら嬉しいですかね。まあたかがTwitter、されどTwitter、ですが... 私はかなり嫌ですね。
もっとも、FBだってインスタだってザッカーバーグ一人のモノと言っても過言ではないんですけどね。なにせ株の過半は持ってないとはいえ種類株によって議決権の過半は有してる、つまりテクニカリー彼ひとりが殆どの事は決められるんですから。それもメタ社やザックがあれだけ世間や政治家から叩かれ、嫌われている理由のひとつなんです。
いわんや今回は所有権も議決権も100%丸っとですよ。あり得ないと思います。万が一事が進んだとて政治の介入があるのでは。
と、いう事はマスクは十分織り込み済みでしょう、だとすると壮大なお遊び、という事になり、それに付き合って大真面目に論評している私は実に馬鹿馬鹿しい、という事になるわけでこれまた彼が嫌になるわけです(笑)