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予防医療は人生のリターンを高めるのか?
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「ロシアに進出した多くの日系企業に火災保険や賠償責任保険などを実質的に提供してきた」とありますが、自国内で付保を引き受けるのは自国で許可を受けた保険会社に限るという規制を設ける国は多いです。「実質的に」とありますので、ロシアにもそうした規制があって、日本の保険会社が直接的にロシアでの事業をカバーすることが出来ない事情があるのでしょう。その場合、日本企業がロシアを含む海外事業の付保状況を統一的に管理するには、日本の保険会社と契約し、現地の保険会社との交渉を任せるのが便利です。
とはいえ火災保険のようにロシア国内で完結して損害額の上限も読める保険はリスクの範囲が限られますし、事故に際して保険金を支払う保険会社も明確なので、日本の保険会社を介さず現地で契約するのは容易です。問題は生産物賠償責任保険(PL保険)といった多国間の保険会社が絡む場合に顕著に表れます。日本で設計して中国で製造してロシアで販売した製品がロシアで問題を起こした場合、不特定多数が購入した製品が引き起こす被害がどこまで広がるか不明で、グループ全体が危機に陥るほど巨額になるかもしれません。本社を含むグループ全体を守るには、本社が関与して世界的に付保額を管理する必要が強まります。
仮に日本で設計して中国で製造した製品がロシアで深刻な被害を購入者にもたらした場合、ロシアの保険会社は設計と製造に原因があるとして保険金の支払いを免れようとするでしょうし、中国の保険会社は設計ないし販売時の説明に原因があるとして保険金の支払いを免れようとするでしょうし、日本の保険会社は製造ないし販売に原因があるとして支払いを拒否したがるでしょう。日本の保険会社が一括して保険を引き受け、ロシアと中国の保険会社との間で再保険契約を結んでいれば、いずれにしても日本の保険会社が最終的な支払い責任を負うので交渉がスムーズです。
日本の損保が引き受けを全面停止したとしても、現地に拠点があればロシアの保険会社と契約を結ぶことが出来るので無保険状態が強要されるわけではないですが、事故が起きた時の交渉が面倒になり、リスクが高まることは確かです。グローバルな保険契約を日本の損保会社と結んで世界中の保険リスクを一括管理している日本企業がどれほどあるものか・・・ さして多くはないかも知れません。影響度合いはそれ次第であるように感じます。
ロシアはこれで、制裁に対抗したつもりで、かえってきたブーメランで大怪我をすることになるはずです。しかも、それは後々まで尾を引く大怪我です。
日本の損害保険会社が、ロシアでの保険引き受けを契約更新も含め、全面停止したことがわかったとのこと。
経済制裁に対抗してロシア政府が自国の保険会社と、日米欧など「非友好国」の保険会社との取引を禁じたためだという。