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1994年から96年まで続いた第1次チェチェン戦争は、100万人程度の民族であるチェチェン人に、ロシア軍が壊滅的に敗れ、チェチェン共和国が独立を達成した戦争でした。
1999年、プーチン氏は首相に就任して1週間後に第2次チェチェン戦争を開始、民間人を中心に10万人ほどのチェチェン人を殺害し、チェチェン共和国政府を滅ぼし、ロシアの領土に再編入しました。強制収容所に入れられたチェチェン人も20万人ほどいました。
この時点で、プーチン氏の危険性を認識していなければ、何も見ていなかったようなものです。欧米人の多くも、ウクライナなら興味があっても、チェチェンなどは聞いたこともなかったのでしょう。
1999年の時点から明らかだったのは、プーチン氏の最優先事項がロシアの領土であったことです。領土、という具体的な境界線に限られるものよりも、実質的な支配下にある勢力圏、という方が正確でしょう。
ロシアの勢力圏確保という目標の前には、民主主義や民族自決、人間の命などは、何の価値も持たない、とプーチン氏が考えていることも明らかでした。
2001年、米国が「テロとの戦い」を始めたことは、プーチン氏に時間的猶予を与えました。次の戦争のための準備期間を得た、ともいえるでしょう。チェチェンでの大量虐殺も、「テロとの戦い」との類似性から、問題視されなくなりました。
米国が中東での戦争や(失敗に終わった)民主化に集中するようになり、その結果石油と天然ガスの価格が高騰していったことで、資金を得たプーチン体制は、2000年代を通して軍備の拡充に投資しました。
同時に、資源を輸出して工業製品を輸入するというロシア経済のあり方を変えることはありませんでした。
石油、天然ガス関係の政商が政権を支え、金融を独占し、新興の企業が成長する余地は限られていました。メディアの統制が進み、野党指導者は暗殺され、2000年代を通して統制経済が整備され、戦時体制に移行できる準備が進められました。
2014年、ウクライナへの侵攻でクリミア半島などを占拠したのは、それまで着々と進めていた戦争準備を実行に移しただけです。プーチン体制は、全て来るべき戦争への準備を中心に動いていました。
プーチンにしてみれば、制裁で困る市民が生活苦で困ろうが餓死しようが知ったことではないわけですものね。
となると、制裁で困るのは罪のない一般市民だけで(オリガルヒは相当困っている様子ですが)、むしろ困った一般市民の批判の矛先はプーチンではなく西側諸国やロシアからそそくさと撤退していった西側企業に向けられるという、我々がまったく望んでいない結果になりかねません。
妙案があるわけではないですし、横暴を指を加えて眺めているだけではいけないとは思いつつ、果たして我々が望む方向へ向かっているのだろか???と無力感が漂います。
どちらかというと(西側に人気のある)ゴルバチョフの方が違和感があるでしょう。今でも存命で、政党活動をしていますが、政治的な存在感はありません。プーチンの人気は高いですが、戦争の後のリアルな支持率が知りたい
本件に限らず、リスクが顕在化した後には、リスクを示唆する様々なものが出てくるという点。一方で、リスクを一個一個潰すことはできなかったり、またリスクの時点ではそこにどれだけ強く対処するかという正当性やコストメリットが十分にないことが多い。
だからそれを踏まえてその場その場で判断をせざるを得ない。でも、均衡の探り合いともいえ、ここまでは出てこないというシグナリングへの捉え方がお互いが違うと、均衡が思いだにしない方向に一気に崩れる。
そしてその取材力も素晴らしいです。
プーチン大統領のことがわかるとなんでロシアがウクライナに侵攻に踏み切ったのか見えてきます。
読みごたえがありましたが、面白く読ませていただきました。
この記事を読みながら、知人の描写が脳裏をよぎりました。
ロシアと中国、プーチンと習近平、スラブと中華、ヨーロッパとアジア、対ウクライナと対台湾...様々な点と面で異なりますが、「愛国とは何か」にまつわる国家観、米国主導の世界秩序への不満、民族復興への執着、「核心的利益」の設定、権力への視座...両者の間で「似ている」点は少なくない、小さくないと改めて思いました。
どんな歴史的背景を経て、今のプーチン大統領の行動に至るのかを少しは理解できました。武力に訴えるなんて誰にとっても無価値なのになぜ?と最初は思っていたのですが。
自分を引き上げた人へは徹底的に守るし、そうでない人へは徹底的に処分する。
個人的にロシアが好きだから、長い間見てきたけど、領土への思いまでは正直見破れなかった。