バイデン米政権、石油備蓄からの大量放出を検討-関係者
Bloomberg
2022/03/31
(ブルームバーグ): バイデン米政権は、米国の石油備蓄から数カ月間にわたって日量約100万バレルを放出する計画を検討している。高騰するガソリン価格やロシアのウクライナ侵攻を受けた供給不足に対応することが目的。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
放出総量は最大1億8000万バレルに達する可能性があるという。
同計画は、他国も参加する世界的な備蓄放出に向けた調整を国際エネルギー機関(IEA)に求める外交努力と並行している。世界規模の備蓄放出については最終的な決定には至っていないが、ホワイトハウスは米国の備蓄放出について31日にも発表する可能性があると、関係者の1人は説明した。いずれの関係者も匿名を条件に語った。
米国が石油備蓄放出を検討していると伝えられたことで、ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物はアジア時間31日午前の取引で一時5.5%下落した。
ホワイトハウスは30日、バイデン大統領がエネルギー価格引き下げの取り組みについて31日に発言する予定であることを明らかにした。「米国の家庭のためにガソリン価格を引き下げる」施策について話すという。米国はエネルギー価格高騰を招いたとしてロシアのプーチン大統領を非難している。
声明は詳細には触れておらず、ホワイトハウスの報道官は現時点でコメントしていない。
バイデン大統領は過去半年間で既に2回の大規模な備蓄放出を命じている。昨年11月の5000万バレルに続き、ロシアのウクライナ侵攻開始後の今年3月にはさらに3000万バレルの放出を決めた。ただ、価格への効果は限られている。
米エネルギー省のデータによれば、米国の戦略石油備蓄は25日現在で約5億6800万バレル。
サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)によると、バイデン大統領は先週の欧州での同盟国首脳との会議で、石油供給や追加備蓄放出の可能性について協議した。主要7カ国首脳会議(G7サミット)で「主要な議題」となったという。
原題:Biden Team Weighs a Massive Release of Oil to Combat Inflation(抜粋)
(戦略石油備蓄のデータなどを追加して更新します)
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